ウィーン話を長らく続けておりますうちに、今度はサイパンへ行くことになってしまいました。
この辺の言い回しが、ウィーンのときといささか異なるものだとお感じになられるでしょうか。
行き先が「似合わねぇ~!」とお思い向きもあろうかと思いますが、
これでも結構ビーチ・リゾートにも行ってたりするんですよ。
サイパンにしても、今度で4度目になります。
が、何故に「ちょい引け感」があるのかというと、パッケージ・ツアーなんですな、これが。
一族に(というと大変大袈裟ですが)少々祝い事が重なり「それなら遠出で宴会だぁ」というのが
どこでどうなったのか、サイパンで落ち着きました。
老若男女8名の一行の、添乗員代わりにこき使われるのではないかと…
でもって、サイパンへのフライトがJALのチャーター便だからということでもありませんけれど、
「地に墜ちた日本航空」という本を手に取ったわけですが、
乗る前に手に取る本じゃないかったかな…。
御巣鷹山の事故のことを考えると、あんまり感心できるタイトルではありませんね。
とまれ、昨今でもデルタとアメリカンによる争奪戦(デルタ優勢?)が展開されている日本航空の再建に関しては、ずいぶんと長く取りざたされているようで。
本書の発行は2007年6月ですから、
それから考えてもリアルタイムな内容は盛り込まれていないわけですけれど、
それでも2年半前現在での日本航空の状況分析から、
ついに合意に至った日米オープンスカイを見越した形での再建のあり方のあたりは、
まずまず「なるほどね」というものなのでありました。
とにかく読んでみると、JALという企業体質が「とんでもない!」ものであることが分かりますね。
「日本のナショナル・フラッグ・キャリア」であるという過剰な思い入れから、
民営化されても採算意識が後回しになっているところへ、
トップをめぐる人事抗争に8つほどもあるという組合が絡んで、
もはや組織の態をなしていないのでは思えてくるわけです。
そして、これだけ長い間再建話が出ていても、早々急激に変わってはいないのでしょうけれど、
機長の年収ってのは、平均してだいたい2,000万円なんだそうですよ。
詳しくは知りませんけれど、会社の役員あたりだとこのくらい貰えるんですかね。
確かに機長という職業は、大勢の人命を預かって、
安全に運航しなくてはならないという責任とプレッシャーのあるものではありますけれど、
「う~むぅ」と眉間にしわがよらないでもありません。
一事が万事ではないと知りつつ、こんな話を引用したくなっちゃいますね。
新賃金体系(まあ、実質的な賃下げを伴うのでしょう)の導入を訴えた会社に対する、
あるパイロットの発言です。
会社が潰れても、われわれの職種は潰れない。われわれの給与はまだ低い。プール付きの家に住んだことがない。
改めて解説するまでもなく、機長は大変な仕事である→相応の給与が保障されるべき→
相応の尺度が、プール付きの家が買えること?と、最後のところは全く理屈に合わないですよね。
もっとも、機長の所得というのは全日空も変わらないというより、
もっと高いという話ですから、日本航空のことばかり言えないにしても、
差し当たり全日空は大騒ぎされない程度に経営できてるのでしょう。
ただ、本書の中では何とかなってる全日空がいろいろ手を打ってきたときに、
日本航空は全く!という叱咤激励と同時に
日本航空が空のパイオニアとして果たしてきたことへの称賛も惜しまないわけですね。
例えば、沖縄キャンペーンを展開して観光による地域振興に大きな役割を果たしたことや、
細かなところでは機内での「おしぼりサービス」、
砂糖や塩などの一人分ずつの個別包装を始めたことなどなど。
おしぼりやスティックシュガーは、JALが初めて取り入れ、外国系キャリアにまで広がったんだそうですよ。
つまり観光振興から個別の細かなサービスまで、やる気になればできるのがJALなのに…という。
一方の全日空も、「今がチャンス」くらいに「JALに追いつけ、追い越せ」だけの発想から
脱却が必要だとも筆者は言っていますね。
目を向けるのはJALではなく、顧客だと。
気付いてみれば、これまでにパンナムが潰れ、スイス航空が潰れ、サベナ・ベルギー航空が潰れ、
TWAもイースタンも潰れ、ノースウエストもデルタへの機体の塗装替えが始まっているご時勢になって、
今後はさらに「空の自由化」を迎えたとき、アメリカン航空が羽田-札幌(そのままニューヨークとか)を飛び、
英国航空が福岡-関空(そのままロンドンとか)を飛んでるかもしれません。
果たして、鶴丸とニッペリはいかなることになっているでありましょうか??
こういう話はやや後ろ向きなふうになってしまいますので、
前向きになるためには、こちらがよろしいかと。「大逆転!コンチネンタル航空-奇跡の復活
」。
