音楽の志向としては、声ものより楽器ものを長く聴いてきているわりには、
これまでウィーンではStaatsoper、Volksoper双方に行ったことがありながら、
楽器ものの方の本拠地Musikverein
(楽友協会)を訪れたことがないのは
片手落ちだなと思っていたわけです。
そこで今回は周到に日本からオンライン予約を試みたのですが、
先にも書いたオペラ座同様
、どうしてもウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のチケットは
「完売」なのでありました。
クリスティアン・ティーレマン指揮によるベートーヴェンの交響曲第7番、第8番。
いくら映画版「のだめ」をウィーンでロケしたからって、
ひところの日本のように「のだめ」人気でベートーヴェンの7番をやるコンサートは満杯!
てなわけでもないでしょうに。
ウィーン・フィルなのか、ティーレマンなのか、はたまたベートーヴェンなのか、
それとも全てなのかは定かではありませんが、要するに人気が高いということなのですね。
これまでも何故だか、出向いた先の地元オケの演奏がどうにも聴けないという状況です。
ロンドンではBBC系列のオケはともかく、
ロンドン響やロンドン・フィル、フィルハーモニア管の演奏は聴けてませんし、
アムステルダムでも聴いたのはコンセルトヘボウ管でなく、
引越し公演のベルゲン・フィルとフランクフルト放送響でしたし。
そうはいっても、これだけ有名なホールでオーケストラを聴けるわけですから、贅沢はいえません。
それに、アントニオ・パッパーノの指揮によるローマの聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団の演奏を
なかなか日本でも聴けませんしね。
ところで、Musikvereinですが、立派な建物ですねえ。
入り口の左右の脇にはハリウッドの「Walk of Fame」のような星型の敷石があって、
シューベルトやブルックナーのサインが入っていました。
探せば、もっとたくさんあったのかもしれませんねえ。
(これはオンライン予約のチケットを発券してもらいに行った昼間の写真)
さて、中はといいますと、やはり複雑な構造のようですね。
座席にはParterre、Balkon、Galerieとあって、
簡単に日本風に言えばそれぞれが1階席、2階席、3階席という具合。
このBalkonにたどり着くのが結構たいへんで、階段をどれほど登れば着くのか?というほど。
エレベータもありますが、後からむりむりバリアフリーのためにつけたものでしょう、小さいんですよね。
Balkonの右手後方の席でしたが、傾斜がかなりあるので、前方の視界が妨げられることは全くなし。
(目の前のおっさんがでっかい体で少々難ありでしたが、この人、実はおばさんでした・・・)
正月に中継もされる「Neujahrskonzert」の会場として、
TVで見てる限りでは大きく見えましたけれど、
思ったりよりも小ぶりな印象のホールでした。
「Grossesaal」(大ホール)というドイツ語が妙にどでかそうなイメージを醸すせかもしれません。
そろそろ演奏の話ですが、
イタリアのオケが、オーストリアのホールで鳴らすロシア音楽という一風変わった取り合わせ。
リャードフの小品に始まり、ショスタコーヴィチ
の歌曲、
そしてチャイコフスキー の交響曲第4番というプログラムでありました。
リャードフは慣らしで、ショスタコも伴奏、本領発揮はチャイコということですが、
予想外に小さめのパッパーノの大きな振りにオケが機敏に反応していて、
やや細部に少々の乱れはあるもののたっぷり鳴って、上手いなぁと。
もおちん、ホール・トーンが良いこともあります。
速度変化のつけ方が唐突かとも思われるような誇張があったりして、面白い演奏でしたねえ。
パッパーノはすでにチャイコの後期交響曲集を同オケで録音しているので、
まとめて聴いてみたいような気もするのですね。
ところで、チャイコの4番はも少し取り上げられてもいい曲だよなあなどと思ったりしたのでありました。
最後に、ひとこと言ってはなんですが、
どうも旅行者然とした人たち(同じ旅行者ですけど)の行動というのが目に余るような。
駄目だと言われてるのに、無視してビデオを撮り続ける人(さすがに演奏中じゃないですが)、
Brochureを買おうとして、言葉が分からないのに「いくら?」と聴いて、行列を作っちゃう人、
旅の恥は掻き捨てといいますし、他の人のことを言えないくらい「なんだこいつは?!」と
いろんなところで思われているかもしれないのですけれど、
「ほんとに音楽を聴きに来てんのかな?観光名所くらいに思ってんじゃないの」
と言いたくなってしまうのでありました。
【USEFUL INFORMATION】
今や海外に出かけた折に演奏会を聴こうと思えば、簡単にオンラインで、
しかも座席指定でチケットが買えるという点では、驚くべき世の中になったものです。
かつて旅行会社やJALワールドプレイガイドで、
けっこうな手数料がかかって手配してもらってたような気がします。
試みに検索して、「おっ、JALワールドプレイガイド、まだあったんだぁ!」と思って開いてみると、
何と「2009年12月29日で閉店することとなりました」と出てきたのですね。
ご時世でしょうなあ。
ところで、座席を指定してチケットを購入するときに、気を付けなきゃいけないのは、
例えば英語で言うと「Restricted view」などという注釈がついている座席は、
視界が制限されているどころか、ステージの半分以下しか見えない
ことがあると考えておいた方がいいです。
日本の演奏会場にはワインヤード型とシューボックス型がありますけれど、
欧米はもっぱら後者で、聴くことだけでかまわないなら別とはいえ、
せっかくだから見ることも楽しみのうちと考えれば、
多少遠くても、とにかくステージ正面(に近い)席をとるべきかと思いますですよ。




