織田信長が「人間五十年、下天の内をくらぶればぁ~」と幸若舞を舞いながら、
よもやほんとに49年の生涯になってしまうとは思ってもいなかったではないですかね。
でなければ、ご大層な安土城 を作ったところで…ということになってしまいます。
一方で、安土城に比べてるまでもない、ほんの「ちいさいおうち」は60年以上健在なのではないかと。
と言っても、読み継がれて60余年ということですけれど。
そして、作者のバージニア・リー・バートンが今年2009年で生誕100年なのだそうです。
これまで歴史の中にはいろんな人がいますから、毎年毎年、だれそれの生誕○年、没後○年といった
周年イベントやらが行われますけれど(行事とまでいかなくても、キャンペーンとか)、
そんな中で、このバージニア・リー・バートンの生誕100年というのは、結構地味ですねえ。
(実際、このことはたまたま知ったということで)
ところが、先に挙げた「ちいさなおうち(The little house)」をご存知ない方はむしろ少ないでしょうし、
万一この絵本そのものを知らなくても、お話自体は「ああ、あれね!」と思われるのではないでしょうか。
(ディズニーの絵本でもありましたね、確か。でも、素朴なバートン版の方が素敵に思えます)
季節の移り変わりがくっきりはっきりした丘陵地にあるちいさいおうち。
自然に取り巻かれたちいさいおうちの建つ村にも、少しずつ少しずつ近代化の波がしのび寄ります。
畑や牧草地がなくなり、家が建ち始め、それがやがてビルになっていき、
路面電車が走り出し、車の交通量も増えていくと、
ちいさいおうちは、両脇の高層ビルと目の前の高架鉄道に挟まれて、
もはや息も絶え絶えといった様子に。
廃屋同然になったちいさいおうちでしたけれど、
「ここには、この家はふさわしくない」とばかりに、かつてのような自然に囲まれた土地に移築されて、
すっかりおうちはにっこにこ!
表紙を見ても分かりますように、家が人の顔にも見えて、
その擬人化された表情も楽しく見えるところですけれど、
よおく考えてみると、ちいさいおうちばかりでなく、人であっても「居場所」というものがあって、
ぴたり来たときがいちばんなのかも…てなことを考えてしまいますね。
「住めば都」とはいいますけれど、どこかに「そのうちきっとそうなるよ」と言った希望的観測、
悪く言えばあきらめみたいなニュアンスがあるようにも思えますし。
そうそう、絵本として楽しむなら、「はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー」も面白いですよ。
特に、ページの周囲をとりまく小さな絵が。
有名なのは「いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう」の方でしょうけれど。

