とある研修会(参加者でなくて、見学者でしたが)で
 「風が吹けば、桶屋が儲かる」の話が出てきました。
 参加者の多くが、この話を知っていると答えていたものの、
 いざ「風が吹くと、どうして桶屋が儲かるのか?」と聞かれて、
 困った様子が見受けられました。

 風が吹く⇒桶が飛ばされる⇒新しい桶を買う⇒桶屋が儲かる

 これでは、さすがに単純過ぎますよね。

 風が吹く⇒砂埃が舞う⇒目に入って盲人が増える⇒三味線引きが増える⇒
 三味線用に猫が捕獲される⇒鼠が増える⇒桶がかじられ、新しい桶を買う⇒桶屋が儲かる

 ということかなと思っていたのですけれど、さらに異説がありまして、

 ・・・鼠が増える⇒疫病が流行る⇒死人が増える⇒棺桶がたくさん要る⇒桶屋が儲かる
 
 ということなんだそうですね。

 まあ、どういう話が本当なのかはここでは置いておくとして、
 不思議だなと思うことは、この「風が吹けば、桶屋が儲かる」という話が
 今でも日常会話に顔を出すことのある「現役」の言葉だということです。

 もし「風が吹けば、桶屋が儲かる」というのが、本当にそう(真理)ならば、
 長い間残り続けることも肯けます。
 ところが、入り口(風が吹く)から出口(桶屋が儲かる)に至る因果関係を見ていくと、
 (ケースバイケースではあるにせよ)
 「本当かよ?」と思われるつながりで結びついているようなところもあり、
 およそ真理と言えるものではないですよね。

 とすると、この話(言葉)が未だに引き合いに出されることのあるものとして
 生き残っていられるのは、いったい何故なんでしょう??

 もしかすると、この後も生き残り続けるかもしれませんが、
 もともとの語源があやふやになってきているように、
 やがては「風が吹けば、さおだけ屋が儲かる」などと転化してしまうかもしれませんね。