このあいだアンデルセン探究 をした際に見ていた本で、
アンデルセンの童話につけられた挿絵の数々、
デンマークほか外国で出版されたものや日本で出版された絵本まで含めて
あれこれのっていたのを見たのですね。
その時、いちばん印象に残ったのが、実はいわさきちひろだったというわけでして。
いわさきちひろの絵というのは、東郷青児の美人画同様に、個性がはっきりしていて、
「あ、これ、いわさきちひろの絵ね!」と分かるくらい有名ですよね。
むしろそこのところが、これまで探究に向かわせなかった理由かなと思う反面、
「いいものは、素直にいいと思ったらいいわけね」と思ったような次第なのですよ。
「にんぎょひめ」、「あかいくつ」、「マッチうりの少女」それぞれに、
表紙よりも中の方に素敵な絵があるのですけれど、それは見てのお楽しみということでしょうか。
「ちひろ美術館」のHP でなら、いくつか見られるかもしれませんけれど。
アンデルセン童話に定番の挿絵というのは、
ヴィルヘルム・ペデルセン やローレンツ・フレーリヒ の手になるものということらしいのですけれど、
こちらは細密な線で描かれ、いかにも挿絵らしい挿絵。
いわさきちひろの方はといえば、これは一目瞭然なように挿絵でなくて、絵本なのですよね。
読み聞かせならともかく、こどもが一人で手に取ってというのなら、断然こちら。
と、大人は思うところですけれど、実際よく見ると子供向けというよりも、
「子供が喜びそうだな」と思う大人向けなのではないかと。
作者本人は、こんなことを言っています。
一口にいって、わたしは、いっしんに児童文化の発展のために、子どもたちのよろこびのためにだけ、かいている人と思われているらしいが、そういうわけではない。なによりも、自分のためにかいている。(中略)子どものためなら、ほかにもいる画家が、もっといい仕事をしてくれれば、それでいいわけだから。
こう言いきられてしまうまでは、
「子どもたちの喜びのためだけに描いている人」と思いがちでもあっただけに、
目の前に芸術家いわさきちひろが、やおら立ち現れて気がしたわけです。
そして、やはり作者がオーデンセのアンデルセン博物館を訪れたときにしたためた手紙。
はるばるオーデンセまでまいりました。(中略)背の低い昔風の小さな家々がアンデルセンの生家のまわりにのこされロマンチックで童話風です。アンデルセン博物館に私の本をおきましたところ入場料がすぐにかえされ、私の日本の住所をきかれ、とてもていねいにされました。沢山ならんでいる各国のどの本もあまり感動しませんでした。私の本の方が美しいような気がします。うぬぼれかしら。
俄然、いわさきちひろに興味が出てきてしまいました。(変かな…)


