昨日は午前中の雨がウソのように青空に変わってしまったので、
慌てて出かけて間に合うイベントみたいなものはなかろうか?
ということで出かけたのは多摩センター。
パルテノン多摩 での演奏会でありました。
題して、「フレッシュ名曲コンサート」であり、
「新日本フィル スプリング・コンサート in 多摩」というもの。
時季的に「スプリング・コンサート」と銘打つものは多々あれど、
3月の場合には下手すると雪が舞ったりすることもあるわけで、
中身がいかにも「春」を意識した曲目なんぞのときには
「ああ、へたこいた~」ということもままあるわけです。
ところが、今回は冒頭に言ったような好天で、
しかももう一方の「フレッシュ」という点でもなるほどと思える演奏会だったのですね。
「名曲」と言われると、少し地味な気もしますけれど、まあ普段聴けない曲なんかも聴けたということで、
今回はタイトルに違わぬ演奏会だったのではないかと。
まず、第一曲目がコープランドのクラリネット協奏曲でして、
ソリストが昨夏、やはりパルテノン多摩であった「クラリネット・フェスティヴァル2008」 の際に開催された「第7回日本クラリネット・コンクール」の第1位、台湾生まれの田永年さんですから、「フレッシュ」というのも文字どおりというわけです。
コープランドのこの曲はおそらく初めて聴いたのだと思いますけれど、
カデンツァを挟んで続けて演奏される2楽章構成。
この第一楽章「Slowly and expressively」は、朝のゆったりした目覚めを感じさせるものでした。
思い込みもあるのかもしれないのですけれど、
この朝の情景は紛れもなくアメリカではと思ったりするのですね。
(住んだこともないくせに…)
第2楽章ではテンポが上がり(Rather fast)、ジャズ風でもあり、はたまたウェスタン風でもあといった印象。
ウェスタン風というのは、カントリー調ということではなくって、
映画のウェスタン(昔風に言えば、西部劇)に出てきそうな音楽といったら良いでしょうか。
もちろん、西部開拓期にどんな音楽が流れているかは正確には知るところではありませんけれど、
西部劇、たとえば「荒野の七人」のエルマー・バーンスタインの曲をイメージするような…ですかね。
コープランドのもっともポピュラーな曲といえば、「アパラチアの春」とか「エル・サロン・メヒコ」、
ブラス関係者には「市民のためのファンファーレ」といったあたりでしょうけれど、
個人的にはバレエ音楽「ロデオ」が一番のお気に入りだものですから、
なおのことそんなふうに思ったのかもしれないですね。
ちなみに、このクラリネット協奏曲は、かのベニー・グッドマンの委嘱によって書かれたということです。
続いては、ヴィエニアフスキの「ファウスト」による華麗なる幻想曲で、
ヴァイオリン独奏が鈴木愛理さん。
2006年、17歳でヴィエニアフスキ国際コンクールの第二位受賞ということですから、
まだ19歳か20歳かという年代なわけで、十二分に「フレッシュ」ですねえ。
いかにもヴィルトォーゾ・ヴァイオリニストであったヴィエニアフスキらしいテクニックふんだんな曲。
でも、メロディが可愛らしいので、奏者の雰囲気にマッチしていたようではありました。
音色的には、シベリウスのコンチェルトを聴いてみたいような気がしたのですね。
休憩をはさんだ後は、ソプラノの松岡万希 さんによるアリア3題。
「フレッシュ名曲コンサート」の名に違わず、休憩前のお二人はいかにもフレッシュだったわけですが、
松岡さんの場合は、(こういってはなんですが)もはや堂々として舞台姿にとっても花のある方でした。
モーツァルト の歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」から「岩のように」、
グノーの歌劇「ファウスト」から「宝石の歌」、
そしてプッチーニ の歌劇「ジャンニ・スキッキ」から「私のお父さん」の3曲。
どれも、たっぷりとした声量で見事に歌いきっておられました。
とりわけ、ひと頃「美の巨人たち 」のエンディングに使われていたプッチーニには、
感涙あわやというところだったりして…。
ひとしきり(個人てきに?)盛り上がったところで、
これまで引き立て役にまわっていた新日フィルの勝負ネタはモーツァルトの交響曲第35番「ハフナー」。
最後の三大交響曲の前にあって、有名なわりには実演に接する機会がないため、
生で聴くのは初めてなのですけれど、やりますねえ、やっぱりモーツァルトは!
「リンツ」の疾走感が好きなので、
CDでもあんまり聴くことなく過ごしてしまう「ハフナー」なんですけれど、
いざ目の前で演奏されると、とりわけ第一楽章の充実は、大げさかもしれないですが、
「ジュピター」の、うわぁっと音の広がりが現前する世界にも似て、
「実はいい曲ではなかったのかいね」と思わせるわけです。
やっぱりよいですなぁ、その場で音楽が奏でられる瞬間に立ち会うというのは。
