芝居もとっても楽しいものなのですけれど、どうも足が遠のくときにはかなり遠のいてしまうものでして、

久し振りに「見たな!」というところなのですね。

そして、一度見ると(入場時にたくさんチラシをもらえることもあって)

さほど遠からぬうちにまた見たりしてしまうわけです。


それはともかく、新宿の紀伊国屋サザンシアターで文学座 公演「グレンギャリー・グレン ロス」を見たのでした。

映画の「アンタッチャブル」や「俺たちは天使じゃない」、「噂の真相/ワグ・ザ・ドッグ」の脚本家で、

元は芝居出のデヴィッド・マメットの脚本。

いやはや、凄まじいばかりのセリフ劇なのでありました。


文学座公演「グレンギャリー・グレン ロス」

不動産会社の営業マンたちが、客を丸めこむようにして物件を売りつける世界。

そして、営業マン同士が販売高によって熾烈に競い合う世界。


芝居という、見せ場のひとつが会話の妙であるところで、

脅し、すかし、言いくるめるやりとりは絶妙とも言えるものの、何だかいやぁな気分にさせられるという…。

それだけ、食い入ってくるものと言えないこともないですが。


しかし、一言で「嘘」といってはそれまでなのですけれど、

「嘘も方便」という考え方は、必ずしもネガティヴな面ばかりではないよなあと思ったりもするのですね。

かつて営業(不動産じゃないですけど)に携わった者としては。


顧客のニーズが、なかなか手に入りにくいものであった場合、

「それは現在、なかなか手に入りにくいものでして…」と本当のことを言うだけで済まないこともあるなと。

手に入りにくいものを「入手困難」というのは正直ではありますけれど、

顧客としては「そこを何とかしましょう」という一言を待っているわけです。

手に入るあてもないのに「何とかします!」は嘘になってしまいますけれど、

「何とか努力してみましょう」という姿勢は、嘘でも正直でもないのですね。


そんなあれこれを考えてしまう芝居でありました。

何でも「摩天楼を夢みて」というタイトルで1992年に映画化されているようで、アル・パチーノ、ケヴィン・スペイシー、エド・ハリス、アレック・ボールドウィン、ジャック・レモン、ジョナサン・プライス、アラン・アーキンという豪華キャストだそうですから、こちらも機会があったら見てみたいものです。


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