映画版「ラ・ボエーム」
先日ミュージカルの「マンマ・ミーア」の映画版 を見て、個人的感想とは言え、柄にもなくはっきりと

「ダメだし」をしてしまいましたが、今度はプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」の映画版にトライです。


別にステージ・ミュージカルの映画化に偏見があるわけではないのですけれど、こちらの方はお薦めしたいような…


こうも発言が違ってくる理由は何かと言いますと、偏に映画化するにあたっての姿勢かな…と。


通常の舞台でのオペラでは、全曲通してオペラ・グラスを使ってでも見ていない限り、細かな表情を活かした演技などは見てとることができないものですけれど、映画ならではクローズアップとカメラワークで、舞台のオペラでは味わえない部分に迫ろうとする「姿勢」が感じられるわけです。


もちろん、ドラマ性が際立つ分、ミミとロドルフォが恋に落ちる瞬間の唐突さや、その後のミミに対するロドルフォの仕打ち(仕打ちとしか思えない)の身勝手さが際立ってしまうところでもあります。


この辺りは、さすがにプッチーニの全編にわたる秀逸なメロディをもってしても、

如何ともしがたいところなのですね。

オリジナルのオペラを見る(聴く)際には、

ドラマのストーリー性を第一義とは鑑賞者の側も思っていないものですから。


ケネス・ブラナーの「魔笛」がそれなりにストーリーをきちっとさせようとした結果、

必ずしもオペラとしての、本来の面白さが隠れてしまったことに比べると、

まさに直球勝負の「ラ・ボエーム」は、あれこれあってもむしろ成功なのかもしれないです。


アンナ・ネトレプコのミミは少々健康的に過ぎるかなとも思うものの、

十二分に歌唱と演技を楽しむことができたような。

特に、最後に寝椅子で息を引き取った姿をぐぐっと引いていくショットでは、

思わずミミがのオフィーリア に見えた方もおいでなのではないでしょうか。


ジョン・エヴァレット・ミレイ「オフィーリア」

これも映画ならではの演出だと思うのですね。

ということで、細かいことを言い出すよりも

作品に魅了されたことで補われてしまうという映画版なのでありました。