この間のNHK-TVの「新日曜美術館」で、ニコ・ピロスマニが取り上げられていたので、
つらつら考えていました。
去年の夏に渋谷で見た「青春のロシア・アヴァンギャルド 」展が方々回って、
来月から埼玉県立近代美術館にやってくるのに当たって取り上げられたもののようすけれど、
グルジアの人たちにとって、ピロスマニはまさに「国民的画家」なのだな…と思ったのでありました。
日本で知られていないだけなのかもしれないですが、
だいたいグルジア人で世界的に有名な人っているのかな?と思うと、
ピロスマニ以外に…あ、いました!
スターリンです。
「新日曜美術館」にゲストとして登場されたグルジアの方が
「ピロスマニは、グルジアの空気のように、みなとともにある」というようなことを言っていました。
これはピロスマニが描いた世界がワイン作りやグルジア正教の営みなど、
グルジア古来のアイデンティティに基づいているからではないでしょうか。
本来、長い伝統に根ざしたグルジアのアイデンティティ。
これは、いかにロシア帝国に支配されようと、中央から離れて貧しい生活を強いられようと
根強く、脈々と受け継がれていたのですよね。
そんなグルジアのアイデンティティを破壊してしまったのが、
ソヴィエト=ロシアであり、グルジア出身のスターリンだったのではないかと。
貧しさから解放し、人間として平等たらんとした挙句に、むしろアイデンティティの放棄を
求められてしまったのかもしれませんね。
だからこそ、改めてピロスマニの絵に接するとき、
グルジアの人々であればなおのこと、「グルジアそのもの」に接した気がするのかもしれません。
そうして、ピロスマニが世に出るきっかけは、後の日本でまでも「青春のロシア・アヴァンギャルド」という
名称の展覧会でくくられてしまうようにロシアに認められたからでありながら、
今でさえもピロスマニがグルジアの国民的画家として多くの人の心に残っているのでありましょう。
