12月23日の会期末までに行けるかどうか
危ぶんでいた
「アンドリュー・ワイエス」展。
ようやく行くことができました。
今回の展覧会では、水彩画の威力(!)の再発見と
「創造への道程」とあるとおりに習作を見る面白さ、
これの発見が最大の楽しみであり、
また最大の収穫というわけなのですね。
ワイエスの水彩画は、本当に見事です!
水彩画より油彩画の方が高尚(?)
なような気がしてしまいますけれど、
それは単に小学校の図画工作でやるのが水彩画、
中学以降、教科の名称が美術になると手をだすのが
油彩画といった教育課程から受ける印象かもしれません。
むかしむかぁしはそうだったのですけれど、今でも同じかどうかは定かではありません。
でも、やっぱり油彩画の方が表現が豊かなのかなと思ってしまっているわけです。
しかし、しかし。
侮ってはいけないということを、思い知らされるのですよ、ワイエスに。
これはワシントンのナショナル・ギャラリー にある「野に置かれた義手」という作品(1985年)ですけれど、
ここに見る倒木の質感たるや、恐るべし!なのですよ。
そして、この「冬の水車小屋」(1978年)での、壁の質感。ため息ものです。
もう一つのお楽しみは、習作にみる制作過程。
有名な「クリスティーナの世界」のでき上がる過程での、デッサンや下絵の入念な準備。
とりわけ、クリスティーナの手首のあたりを描いたデッサンは、
完成作以上に腕が細くゆがんで、心に痛みが走るほどなのですね。
また、テンペラによる完成作以上に、ワイエスならでは完成度ではと思えるのが「747」(1980年)です。
テンペラ作品が、ワイエスにしては妙にのぺっというか、つるっというかしてしまっているので、
水彩で描いた習作の、かすれた感じがいつも寒風の吹いていそうなメイン州にピタリと来るわけです。
もう一つ、習作に軍配が上がりそうなのが、「鋭利な斧」(1988年)ですね。
最終形は「農場にて」という作品に昇華するようですけれど、
この「鋭利な斧」完成作の人物が作品の一部として描きこまれます。
で、この「鋭利な斧」ですけれど、
この完成作では人物の視線が斧の後方、どこか遠くを見ているように思えます。
これが、ひとつ前の習作段階では、鋭利な斧の刃そのものに暖かな視線が向けられているのですね。
「斧よ、お前もよ、まいんちまいんち、よくがんばっとるのぉ」
と、斧に語りかけているように・・・。
本当は、「習作」の方を引用したかったのですけれどねえ。
とまあ、このように、ワイエス好きにはたまらない展覧会だったわけですが、
最後にはテンペラできっちり仕上げた作品を。
厳しい自然がワイエスのタッチと絶妙なコラボレーションを見せる「雪まじりの風」(1953年)。
東京展はもうおしまいですけれど、年明け1月4日からは愛知県美術館に巡回します。
名古屋のみなさん、お楽しみに!!



