今やロスアンゼルスも、ニューヨークも普通に観光ができる街になっていますけれど、
そう言えば、それほど遠くない昔は、活動エリアはよほど気を付けないといけないところという
一般的な意識があったなと思いだしたのですね。
なぜ急に?
映画「わが街」を見て、思いだした次第です。
この映画の不思議なところは、出演者が
ケヴィン・クライン、スティーヴ・マーティン、ダニー・グローヴァー
でありながら、コメディじゃあない!ということなのですね。
マック(ケヴィン・クライン)が車で自宅へ帰る途中に
渋滞に遭遇したため、まわり道をしようと迷い込んだのが
スラムとまでは言わないけれど、酷く危ないエリアだったわけで、
運の悪いことに、そんなエリアのど真ん中で車が故障してしまうという踏んだり蹴ったりの状況。
なんとか頼んだ修理工場のレッカー移動を待つ間、
街の悪い連中に取り囲まれて、銃を突き付けられて…
そこへレッカー車を運転してきたサイモン(ダニー・グローヴァー)がうまく立ち回ってくれたおかげで
悪い奴らは何とか退散。
これに恩義を感じたマックは、サイモンをいいやつと見込んで、
職場の女性(でも、ほとんど面識がない)をサイモンと引き合わせたところ、
ふたりは意気投合でハッピー、ハッピー。
とまあ、筋立てを書いていても詮無い話なのでありまして、
この映画が製作されたのは1991年ということですから、20年までは立たない昔という時期のお話です。
でも、ちょうどその頃のニューヨークは、未だ地下鉄に乗るにはかなりリスクがある状況でしたし、
ロスアンゼルスもまた…といったところではないかと思うのですね。
実際ロスアンゼルスに行ったのは、も少し前だったかと思いますけれど、
サンフランシスコが比較的安全だった(比較的ですが)だけに、
サンフランシスコから夜行バスで入ったロスアンゼルスでは、ピリピリしていたことを思い出します。
ロスアンゼルスはダウンタウンの、ユニオン・ステーションにバス・ディーポがあって
そこに朝到着したものですから、顔でも洗うかと駅のトイレに入ってみれば、
どでかいラジカセを肩に担いだ黒人さん(アフリカン・アメリカンというべきか?)が入ってきて、
「刑事ジョン・ブック」の少年になった心持ちがしたものです。
(そういえば、その時少年が恐れた輩が、ダニー・グローヴァーでしたねえ)
ダウンタウンは危ないと(その時は)聞かされていたものですから、
泊まりはハリウッドのYMCAにしたのですけれど、晩飯を食べに行ったダイナーでは
近くに座った白人さんが、やおらにこやかに「俺はジョンだ」などと話しかけてくるわけです。
「そうか、そうか」みたいな他愛もないやり取りの後、
そのジョンとやらは「金を持っているか」と聞いてくるのですね。
銃を突き付けられたとか、凄まれたということはありませんけれど、
「こりゃあ、ヤバいな」と思ったわけです。
そこで、多少持ってはいたんですけれど、「ここの払い分しかない」と言いますと
「けっ!」って感じで、ついさっきまでの愛想の好さはどこへやら。
そそくさと立ち去って行ったのですね。
ですが、実際に払いを済ませてYMCAまで戻る数百メートルの道のりが何と長く感じたことか。
何度も振り返ってしまいました。
で、後から聞かされたところでは、「ハリウッドも相当やばい」という話。
んなこと、後から言われても、と思ったのでありました。
アメリカの街なかには今でもデンジャラス・ゾーンは多々あるにせよ、
その頃に比べれば断然ましになっているような。
今は昔の物語ではありました。
![わが街 [DVD]/ケビン・クライン,ダニー・グローバー](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fecx.images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F21NM0EF9R0L._SL160_.jpg)