いやあ、発想の妙といいますか、目の付け所が素晴らしいですよね。
そもそもブロードウェイ・ミュージカルのステージを目指す若者たちの
オーディション風景を描くミュージカル「コーラスライン」を作ること自体、
「すごいですねえ」なのですが、
そのミュージカルのための本当のオーディション風景で
ドキュメンタリー映画を作るという発想もまた、「すごいですねえ」なのですね。
こうして作られてしまうと、
「思い浮かんでも当然」と思えもしますが、まさに「コロンブスの卵」なわけです。
映像は、未だ形にならないミュージカルの題材として、
マイケル・ベネットがたくさんのダンサーたちとのインタビューを試みた音声テープが
回りだすところから始まります。
そこで収録されたダンサーたちに生の声、実際の半生などが
巧みに「コーラスライン」に息づいていることが、だんだんだんだん分かってくるに及んでは、
「ダンスも歌も素敵だな」と表面的な見方をしてしまう(それでも、十二分に楽しい)「コーラスライン」の
ストーリーが包含する、ステージに賭ける者たちのリアルライフに思いを馳せるようになってくるわけです。
そして、そのようなダンサーたちにとって共感できる者を内包しているからこそ、
オーディションでの演技はおのずと熱を帯び、
中には審査をする側が涙してしまうような演技まで飛び出すという。
オーディションなのに…です。
かつてブロードウェイで輝くキャリアを積みながら、今は仕事にあぶれ、
それでも踊っていたいとオーディションに現れたキャシーという役柄。
公演最初は、このキャシーをオーディションで落とすという筋書きであったのだそうです。
が、これを見た女優のマーシャ・メイスンが
「キャシーを落とすべきではない」とベネットに進言したそうな。
曲を担当したマーヴィン・ハムリッシュが当時を振り返って語るには、
「(キャシーを落とさないよう変更してからというもの、大喝采。スタンディング・オベーションが続いた」
こうしたエピソードを「へえ~!」と思いつつ、
若い役者たちがブロードウェイのステージを賭けて全力投球をする姿、これは「感動!」です。
オリジナル・タイトルは「Every little step」。
「コーラスライン」の幕切れにも歌われる「One」の中に出てくる一節ですが、
映像を見ていて「なるほど千里の道も一歩から」なのだなと、
