「いったい何時間かかるんだ?」となるわけですが、
そこはそれ小さなオペラですから大丈夫。
ここで聴かないといったいいつ聴けるのか…
とも思いましたので、聴きにでかけてみました。
その3つのオペラとは、
- ドビュッシー/放蕩息子
- チマローザ/宮廷楽士長
- プッチーニ/ジャンニ・スキッキ
ですけれど、プッチーニの「ジャンニ・スキッキ」以外は
演目を見ても「こりゃ、いつ聴けるのか」と
思うのではないでしょうか。
ところで、演目の話の前に触れておかなくてはいけないのが、
伴奏がオーケストラではないということ、ピアノとエレクトーンがその役割を担っています。
「え?まがい物??」
まあそんな気もしないではないですけれど、これがどうしてどうしてなかなかに聴かせてくれます。
もちろん、本来のフル・オーケストラとまじめに比べては可哀想なわけで、これはこれで楽しめると思ったら良いのではと思ったのでした。
実際、フル・オケを使うオペラ公演はピットがある会場でなくてはできませんし、
当然費用もかさむから入場料も高くなる。
これでは「オペラに興味はあるけれど、敷居が高くて…」という層に楽しみを伝えられないと、
エレクトーンとパーカッションの伴奏で、さまざまなオペラを出前上演(小学校の体育館でも!)する
アーツ・カンパニーといった団体もありますから、
「まがい物」と片付けるよりも、かつてクラシック音楽によく見られた編曲版と思えばよいのですよね。
まず最初がドビュッシーの「放蕩息子」。
これは、本来カンタータとして作曲されたものを
オペラ的な演出で上演する35分ほどの作品です。
絵画の世界で有名な題材である「放蕩息子の帰還」の
音楽化なのですね。
ここに引用したのはレンブラントの作品ですけれど、
これはこの場面、この瞬間で
充分にドラマチックなものですよね。
しかも、目の前に提示される画像は瞬間を切り取ったものではありますが、前後のストーリーをどうしても想像してしまうような「力」があります。
ですから、これをことさら「ドラマ」として提示されてしまうと
過剰演出ではないかとも思えてくるわけです。
ドビュッシーが、そもそもオペラでなく、
カンタータとして作曲したというのは
蓋し炯眼であったと言わざるを得ないのですね。
ただし、今日の公演がつまらなかったというわけではないのですよ。
そして、2曲目がチマローザの「宮廷楽士長」ですけれど、これは面白い!
25分ほどの短いもので、宮廷楽士長役のバス・バリトンの一人舞台。
オペラ・セリアの幕間劇として作られたといいますから、能と狂言のような関係でしょうか。
お子様にも楽しめる「お笑い」要素の盛り込まれたものでありました。
最後が、プッチーニの「ジャンニ・スキッキ」。
今日の演目でいちばんオペラらしいオペラですので、前の2作品が日本語訳詞で歌われたのに対して、
これはイタリア語オリジナルです。
そうは言っても、何しろ小さなホールでもありますし、昨今当然のように付いている字幕がない!
ここで注目なのが、字幕代りに登場するナレーターが物語を説明してくれるという趣向で、
そのナレーションを担当したのが矢島正明さんなのですよ。
ある程度年齢のいった映画ファンならば、吹替の声で「ああ、あの人!」というところでしょうけれど、
なにしろ「語り」がうまい。こういう人の手にかかれば、朗読劇なんつうものも、さぞ面白かろうなあと。
閑話休題。
ヴェルディの「ファルスタッフ」以来という、イタリア歌劇でのコメディは十二分にドタバタ感のある
楽しいものなのでした。ただ、そんな中にあって、
ラウレッタが歌うアリア「私のお父さん」(かつてTV「美の巨人たち」のテーマであった)は、やはり秀逸。
ぐぐっと来てしまいますね。これを生で聴くだけでも堪能!と言えそうです。
というところで、せっかくですから皆さんにもこのアリア、聴いていただくとしましょうか。

