ヒーリング・ミュージックとやらが妙に流行ったときに、

何のはずみか「グレゴリオ聖歌」のCDがめちゃ売れしたことがありました。

あんまり流行りに過ぎたものは、ついつい敬遠する性質でして、

気にはなりましたけれど、ついぞ聴くことはなかったのですね。


ところが、このあいだ塩野七生さんの「コンスタンティノープルの陥落」を読んで

東方正教会のことなどを少々気にかけていた折に、

かつて大売れしたCDが、

中古とはいえ、実にリーズナブルな値段で売っているのを見かけたものですから、

これも天啓かと、いまさらながらに聴いてみようと思ったわけです。


大流行りした当時、世界で500万枚以上を売り上げたという「グレゴリアン・チャント」。

今年は、それから15周年なのだそうで、装いも新たに再発されるようです。


グレゴリオ聖歌は、ローマ・カトリックの典礼のための音楽ですけれど、

いわば西洋の音楽、クラシックとして一般に知られる音楽のジャンルは、

これを起点に発展したわけですね。


で、ローマ・カトリックの音楽なのに、

なんだって東方正教会と関連付けて気にしていたかと言えば、

もともとどちらもキリスト教はキリスト教なわけで、

典礼の形式などなども元はおんなじだったはず。

むしろ、ローマ・カトリック圏の国々では、

グレゴリオ聖歌をベースにいろいろな音楽を発展させていって、

ミサに器楽を組み入れたりしていきましたけれど、

東方正教会はグレゴリオ聖歌そのままに、合唱にこだわったのですね。


ですから、当然にその流れを組むロシア正教会、ひいてはロシアでは

パワフルな合唱に伝統が息づいていったことは、

しばらく前にチャイコフスキーに触れた記事 でも書きました。


ところで、改めて「グレゴリオ聖歌」ですけれど、CDで聴いたことはなかったものの、

教会の、天井の高い空間に響く男声合唱のイメージは、

一般常識的に知っているわけです。

そして、もっぱら厳粛な雰囲気を醸すであろうことも。


そうはいっても、基本的に厳粛さを醸してはいますけれど、

たくさんある曲の中には、

ゆったりしたテンポながらも「相当にメロディアスであるな」と思えるものがあることに気づいたのは、いささかの驚きではありました。

なるほど、売れただけのことはある!と初めて思ったような次第です。

グレゴリアン・チャント・ベスト/シロス修道院合唱団
ようやく朝晩が本格的に秋めいてきた時期だからこそ、

初めての人もそうでない人も、

静かに「グレゴリオ聖歌」に耳を傾けるのも一興かと

思ったのでありました。