東京駅からほど近いブリヂストン美術館では、

「美術散歩 印象派から抽象絵画まで」と題したコレクション展が開催されています。


ブリヂストン美術館「美術散歩」展

もともと素敵な作品群を所蔵する美術館ですけれど、

特別な企画展のほかに潤沢な収蔵品を活かしたコレクション展を行ってくれて、

これはこれで楽しいものなのですね。


東京都美術館で始まった「フェルメール」展のように

一生に一度お目にかかれるかどうかという作品を見るのもよし、

一方で、ブリヂストン美術館でいつも好きな時に出会える作品たちと対面して、

新たな発見にめぐり逢うもまた良しということでしょうか。


今回の「美術散歩」は文字通り

印象派から抽象絵画、果ては現代アート的なものまで

まさに散歩気分で絵画の歴史をたどることができます。


ここでちょっと気にしておきたいのが、ギャラリートークです。

毎週水曜と金曜の15時から1時間、学芸員の方が展示室を回りながらいろいろな絵の解説をしてくれるのですけれど、

とりわけ、この「美術散歩」展ではお薦めかなと。


企画が企画なだけに、近代以降の美術史を概観するにはうってつけの内容と思われます。

「そんなの、知ってるよ」という内容が多いかもしれませんけれど、そこはそれ、復習の意味で。


クールベ「雪の中を駆ける鹿」

解説は、印象派以前、クールベの写実主義に始まります。

まだまだアカデミズムが支配する画壇にあって、

「見えるものを見えるままに描く」というリアリスムは、

当たり前のようであって革新的だったわけですね。


ミレーが描く農夫たち、コローが描く森の風景、

これらもみな、宗教画、歴史画、肖像画といったものが

保守本流だった時代には、革新的というよりむしろ異端でさえあったかもしれません。


これを受けて登場する印象派では、上のチラシのモネのように光を探究するようになっていきます。
そして、後期印象派でのさまざまな試行錯誤、特にセザンヌの独自性は多くの展開に結びつきますが、

マティスらのフォーヴィスム、ピカソらのキュビスムを生み出していくのですね。


さらに、抽象画、シュルレアリスムを経て、現代に至ります。

その際、ブリヂストン美術館の所蔵作品で

どうしても落とせないのがザオ・ウーキーの作品。


ザオ・ウーキー「07.06.85」

これは、「07.06.85」という作品ですけれど、

本物はかなり大きいものです。


タイトルからして抽象画とも言えますが、

見たままのイメージが必ずしも複雑でも混沌としてもいませんから、

見る側の印象のままに具象画と見ることもできるはずです。


クールベからウーキーまで、およそ130年。

長い美術史の中にあって、相当な変遷を重ねた、濃縮された時代を散歩する楽しみ。

それが、この「美術散歩」展なのでありました。