しばらく前に渋谷のBunkamuraに立ち寄ったときに、

ギャラリーで「有元利夫 版画作品展」をやっていましたので、ぐるりひと回り覗いて見たのですね。


有元利夫 版画作品展

どこかで見た雰囲気だなと思ったわけです。

クラシック音楽、それもバロックから古典派系のモーツァルトあたりまでをお聴きになる方は

ぴんと来るかもしれません。


なにやら中世っぽくもあり、宗教っぽくもあり(いずれもイメージは欧風ですが)、

それがバロックから古典派にかけてのCDを飾るには打ってつけだったりするのですね。

日本コロムビアが出しているDENON Aliareというシリーズは、決まって有元さんの絵で飾られています。


確か何枚か持っていたなと探しながらも、見つからないでいるうちに忘れかけていたのですが、

ひょんなことから見つかったのが、モーツァルトの弦楽五重奏曲の3番、4番です。

モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番&第4番/寺神戸亮 クイケン四重奏団
このカーテンの奥からこちらを覗く人陰。

服装は、上の絵に見られるような修道士風の印象。

何やら意味ありげですよね。


音楽の方まで、「どんなかな?」と想像をかき立ててくれます。

ちょうど、モーツァルトの弦楽五重奏曲の3番、4番は

3番が伸びやかなメロディ・ラインのハ長調、

4番が何やら曰くありげなト短調(モーツァルトでは数少ない短調!)

ですから、陰陽のカップリングなのですね。

この覗き見修道士(?)が、こんな雰囲気をかき立ててくれるわけです。

テレマン:パリ四重奏曲/東京バロック・トリオ
そして、もうひとつ。

こちらは、テレマンの「パリ四重奏曲」です。


こちらは、やはり例の修道士然とした人物が宙空に浮かびあがっています。

古楽器による軽やかさ、爽やかさが、この飛翔感の源になっているかのようなのですね。


このように、CDジャケット自体が曲の印象を増幅させてくれたり、

考える楽しみを与えてくれたりというのは、とても素敵な関係と言えるように思えてきます。


クラシック音楽のジャケットを飾るものは、

ともすると演奏者の大写し(アイドルでもないのに)であったり、

「どうして、これ?」と思える泰西名画であったりしますけれど、こうしたひと工夫は、あっていいですよね。

ただ、有元さん自身は1985年、38歳で亡くなってしまわれた(メンデルスゾーンと一緒)ので、

もっともっととはいかないのが、誠に残念ではありますが・・・。