カレル・チャペック「長い長いお医者さんの話 (岩波少年文庫 (002))」
絵本ではありませんけれど、こないだ国際子ども図書館で見てきたもの

後押しされて、チャペックの子供向けのお話を読んでみたのでした。


すべては、大したことのない話…と言ってはそれまでなのですけれど、

子供たちは、必ずしも「ストンと落ちる話」、「万事説明がつく話」を

求めてはいないのですよね、きっと。


ですから、そういう大人が納得する説明は脇へ置いておいて、

どれほど子供の夢を持たせつつ、

しかもあざとくなくちょっとの教訓を与えられたとすれば、

それはそれで、大したものなのだろうと思いますね。


で、このお話の作者、カレル・チャペックはどうかと言えば、

やっぱり空想力(想像力というよりも・・・)のある人なんだなあと思うわけです。


例えば、にわとり以外の鳥がなぜ空を飛べるようになったのか?

これは本書の中の「小鳥と天使のたまごの話」に出てくるのですけれど、

こういうことなのだそうです。

夜空を横切る流れ星というのはね、実は「天使のたまご」なのですよ。
あるとき、地上に落ちてきた「天使のたまご」を見つけた鳥たち。温めてかえしてやらなくてはと、いろんな鳥が入れ替わり立ち替わり、協力して「天使のたまご」を温めたそうな。
あるとき、にわとりにも「天使のたまご」を温めてくれるよう話がいきますと、

にわとりが言うことには「わたしら、地面をつつくのに急がしくて、そんなことをやってる暇はないのよ」とつれない返事。
それでも、ほかの鳥たちは協力しあいながら、温め続け、うまくたまごから天使がかえったところで、天使はえらく喜んで、「みなにお礼をしたいが、どうすれば・・・」と問いかけたものの、

リクエストはなし。

それではと、天使が施したことはといえば、天使と同じような羽を持っているのだから、

空を飛べるようにしてやろう!ということ。

こうして、鳥たちは大空を飛べるようになったのですけれど、

にわとりだけは相変わらず地面をつついていましたとさ・・・。

こうした話は聞いてしまうと、なんてことない。

誰にだって思いつくよ、ということかもしれないですけれど、

頭の中にしまっておくだけでなくって、

やっぱり最初に文字化、視覚化した人が「大したもんだ」と評価されるのですよね。

だから、その点でチャペックは大したものなのでありましょう。

ま、せっかくですから、カレル・チャペックの「大人向け」の本もまた、読んでみるとしますかね。


お、そうそう、本書にも収録された、なかなか愉快な挿絵は、

カレルの兄ヨセフ・チャペックの手になるものだと言います。

そして、有名な「ロボット」という言葉も、実はカレルではなくヨセフが名付け親だったりするらしいです。

万事協力の仲良し兄弟の合作というべき、作品集だったですかね。