なにごとにつけ、「最後」とか言われると、

何かしらの感慨を抱いたりするものですよね。


劇団「一跡二跳」の公演は、これまで1~2度しか見たことがありませんので、

どんな感慨が?とも思いますけれど、

全く知らないわけでなし、ファイナルにつられて見てきた次第です。


そうしたら・・・そしたらですよ、思いもかけず力の入った脚本と芝居ぶり。

2時間、たっぷり堪能してきたのでした。


町の中央を川が流れる地方都市。

折りからの集中豪雨で、川が増水を始め、支流から流れ込む水の量も増えて、

もはや堤防決壊は目前に・・・


ステージには、そんな状況下にあるオフィス・スペースで展開します。

そして、このオフィス・スペースがある時には市の災害対策本部分室に、

またある時は市の記者クラブになるという、空間の二重性を演出しているのですね。


しかも、災害対策本部分室の市職員と、記者クラブに詰める記者連中とが同時に舞台上にいながら、

別空間であることを演じていることは、芝居ならでは妙味なわけです。


似たような演出の芝居に、レイ・クーニーの「ラン・フォー・ユア・ワイフ」がありますけれど、

あちらは仕切りのない舞台の右半分と左半分が別の家という設定。

それよりも、今回の芝居の方が登場人物の錯綜具合は、手が込んでいます。


さらに、時系列の点でも工夫の凝らされた部分もあり、

そうしたことからも脚本と演出の力の入り具合が伝わってくるのでした。


この、夏のどしゃ降りの起こりやすい時期だけに、ヴィヴィッドな話題ですし、

大事に至らなかった場合にクレームが来ることを怖れて、なかなか避難勧告を出さない市役所の対応や

不謹慎と知りつつも、大惨事になれば大きなニュースとなることを考えてしまう記者のモラルといったものを

垣間見せるという、社会派ドラマにもなっていました。


大詰めで、堤防が決壊し、川近くにある市役所にも濁流が押し寄せるという段になって、

実際に舞台上で、じゃばじゃば水が出るという凝りよう。

最前列中央で見ていただけに、臨場感は圧倒的(?!)でありました。


それほど、特別な思いのある劇団ではないのですけれど、

最後の最後に、これだけの芝居を見せてくれたとなると、

もっと見ておけば良かったなあ・・・と思うと同時に、

も少し続けてくれたら良いのに・・・と思うのでありました。


この芝居に関わったそれぞれの方が、それぞれの場所で今後も活躍されんことを祈念する次第であります。