ちょっとネタばらしが入りますけれど、韓国映画「僕の彼女を紹介します 」で、
双子の姉妹がピアノの黒鍵と白鍵に擬えられて、黒鍵に当たる側の少女が事故で亡くなったあと、
残された方はピアノの黒鍵が弾けなくなるというエピソードがありました。
まず頭に浮かんだのがそのことで、黒鍵はいったいなぜ黒くなったんだろうか…
それを教えてくれるものなのかなと思ってしまいました。
冷静に考えてみれば、そんなわけなくって、
ピアノ本体が黒いのはなぜか・・・というのが、タイトルなのでした。
ピアノは黒い。
「あったり前じゃん!」という気もしますが、
なぜ当たり前なんでしょう。
日本人独特の思い込みという要素が、多分にあるんだろうですね。
そんなこと言ったって、コンサート会場で見かけるピアノ、
海外の演奏会の映像を見たって、みんな黒ではないかと思うわけですが、
これは、ピアニストの衣装映えを考えてのことだそうなんですね。
ですから、コンサート会場にあるピアノが黒いからと言って、
世の中のピアノがとにかく黒いものだと思っているのは、日本人ならではなんだそうです。
ピアノ発祥の地であるヨーロッパでは、木目調のピアノというのがごくごく自然にあるようです。
内部の構造は発展を遂げて、鉄などの素材が使われるものの、
外回りは基本的に木材でできていますから、その木材の特性をそのまま活かせば木目になるのは
自然なわけです。
これが、明治期になってピアノが日本に入ってくる、
当然のように国産のピアノを作ろうとする、
欧州に比べて日本は湿気が多い、
木材も生き物(?)ですから、湿気対策が必要であって、日本には古来漆器のような漆塗りの技術がある、
対策として、ピアノも漆塗りで加工するようになる、
大量生産が可能になっても、漆を塗って仕上げた伝統から「黒」が当たり前のことになる・・・
といった推論が成り立つのでは・・・ということのなのですね。
ふ~んって思いますね。
でも、本書はタイトルのわりに、「ピアノがなぜ黒いのか」ということに関する記述は
かなり早い段階で終わってしまいます。
むしろ、練達の調律師たる著者が語るピアノに関するあれこれ、
蘊蓄というよりもピアノを愛してやまないところから語られるあれこれが、興味深くもあります。
フランスのピアノ・メーカー、プレイエルのピアノ。
モーツァルト もパリに演奏旅行に出たときに、気にいっていたというものですが、
ショパン もこの会社のピアノに相当入れ込んでいたのだそうです。
個人的には、バイエルの最初の方でさえまともに弾けないものですから
(おっと、このバイエルというのも、日本以外は知る人さえいない…というもののようです)
もっぱら聴くことだけで楽しんでいるくちですけれど、
それでもなかなか興味深いものであったなと思うのでありました。
