用があって虎ノ門方面に行ったついでに、(またしても最終日ですけれど)
ホテルオークラ東京の別館で開催されている「アートコレクション展 」を見てきました。

入場の歳に、パンフレットが300円と妙に安いので買ってみたのですけれど、
チャリティーイベントなんだそうですね。
500円玉でお釣りをもらおうとしましたが、何やらバッチを200円で一緒に売っていて、
チャリティーならいいかとバッチもついでに買ってしたのでした。

でもって、どういうチャリティーかと言いますと、
「純益の全ては・・・日本赤十字社、NHK厚生文化事業団に寄付」いたしておるんだそうです。

で、どういう展覧会かと言いますと、
「企業・団体・個人が所有し日頃は目にすることの出来ない貴重な美術品を集めて公開する」
ものなんだそうです。
って、よく知りもしないで見に行ったことがバレバレですねえ。


先週まで旅先で美術館に山ほど行ってましたが、
もっぱらネーデルラント絵画が中心だったものですから、
改めて印象派以降の作品にホッとするような感じがしたりしましたし、
個人的には接する度合いの少ない日本画などもやっぱり良いものは良いというか・・・。

とにかく日本人は印象派が好きなのでしょう、入ってすぐから印象派が並んでました。
ピサロの「座る農婦とひざまづく農婦」は後景の積み藁の感じはモネに及ばないと感じましたが、
珍しく?いい明るさの画面に好感がもてたり、
シスレーの「サン・マメスのロワン運河」ではいつもこんなだったかなと思いながら、
素人っぽいような丸太の筆致にむしろ面白さを感じたり。
なかなか面白いすべりだしだなと。

シスレー「サン・マメスのロワン運河」


次いでは、ルノワールが数点。
1892-93年の作とされる「浴女」はルノワールらしい、たっぷり感に満ちた裸婦でして、
そのたっぷり感のみならず、暖色系の色合いが好みに合わなかったりするものですから、
そうなるとルノワールは基本的に「どうもなぁ」なんです。

少し前の作品「カーニュの農園」も風景としては好きなのですけれど、
色彩的には落ち着きがないように思えてしまいます。
さらに遡った1885年作の「化粧する少女」なども、まだどっしり感は出ていませんが、
どうも色合いが気になってしまったり。

でも、さらに前の「タンホイザー」(1879年)になると、
もはやルノワールらしくなくなってくるものの、むしろ好みかも。
ただ、なまじフェルメールを見てきたあとだけに、ヴェーヌス(おそらく)の髪飾りにある輝きの描出は
フェルメールに見た真珠の輝きと比べると、可愛そうなくらい何てことないように思えてきました。
反面、晩年1917年の「魚の静物」には、こんな絵もあったのかとびっくりしましたが・・・。

モネの「日本風太鼓橋」もかなり晩年でしょうか、
もはや抽象画にしか見えなくなってきてますけれど、色の混ざり具合には見入るものがあります。
 
知らない作家たち(恥ずかしながら)の作品でも、
岩肌を描き出す筆の運びがうまく岩の質感を出していると思える
ギュスターヴ・ロワゾー「サン・ジュアンの断崖」、
雲間や樹間からこぼれ差し込む光の具合が、
離れて眺めてる素敵なオトン・フリエスの「森の路」などはいい感じでした。

印象派以外の作品もたくさんあって、
キスリングなのに?肖像画でもなく、また大きなキャンバスを使った「ブイヤベース」という静物画は
くっきりつるりと描かれた魚たちはまるで絵本のようで、「サナリー風景」もやっぱり絵本のよう。

でも、真ん中にある小木は、
まるで「犬神家の一族」でニュッと足から湖に浮かび上がる死体の団体に見えちゃいましたが、
「水玉の服の少女」を見て、明るい中に浮かぶ青い影とうつろな眼差しに
「そうそう、これがキスリングだよね」と、一人で納得。

黒を多用し、暗い背景の中で「花」が生きていると思えたヴラマンク(タイトルは「花」)を見た後に、
離れて展示されてましたけど、佐伯祐三の「花・バラ」が出てきたときに影響、ありありだなとも。

日本人の洋画、日本画のコーナーでもいろいろ見るべきものがありましたねえ。
美術館のような大きな器でやる大展覧会ではありませんから、出展数もそこそこですけれど、
普段は文字通り「秘蔵」されれてなかなか見られないのかと思うと、
なんだか有難みが増してしまったような。

そして、パンフレットを買った人には、展示の中で「この一枚」を選ぶ投票券が付いてくるのですけれど、
かなりダークホース狙いで、ワイエスの水彩画「三人の狩人」にしました。
見慣れた油彩作品とは結びつきにくいとは言っても、そこにある荒涼感はまさにワイエスかと思って・・・。

とまあ、たっくさん絵を見てきたなという気になっていたのですけれど、
またあれこれ見に行く弾みになりそうなものを見てしまったぞという気がしている次第です。