ヴィヴァルディ「グローリア」
ヴェネツィアの話 のついでに音楽にまで踏み込んでみますと、

どうしたってヴィヴァルディなわけです。


合奏協奏曲集作品8「和声と創意への試み」の中の

冒頭の4曲についた「四季」のタイトルが

あまりにも有名な曲集として有名なわけでして、

ヴィヴァルディと言えば「四季」と言われているわけです。


何百曲もの協奏曲を作ったのですけれど、

「1曲の協奏曲を何百回も作った」と揶揄される可哀想な

存在でもあるわけなのですね。


でも、そんなヴィヴァルディも「赤毛の司祭」と言われるように

本来は聖職者なのでして、

当然のように宗教曲も作っています。


ここで取り出だしましたのは、そういう宗教曲の類いですけれど、

あらためてヴィヴァルディの、豊かな音楽性を知るには最適な「グローリア」です。


演奏は、トレヴァー・ピノック指揮のイングリッシュ・コンソート。

ピリオド楽器ならではの乾いた響きが、ヴェネツィアの最高の青空を思い浮かべさせるのですね。

「ヴェニスに死す」のグスタフ・アッシェンバッハも悩まされた「シロッコ」のような風もなく、

乾いて澄み切ったアドリア海の空を臨むというイメージです。


リズミカルな曲の合間に入る穏やかな緩徐楽章には敬虔な雰囲気もありますし、

「四季」のような手垢が付いていないぶん、じっくりと音楽に接することができるわけです。

第3曲「Laudamus te」のソプラノ二重唱などは、誠にさわやかなのですよ。


最近では、同じピノック盤でも「四季」とカップリングされているものがあるようですけれど、

この際「四季」から離れて、同時にスカルラッティの宗教曲が収録されたCDで聴いていただきたいなと。

ヴェネツィアのあちこちにみられる、教会の丸屋根を思い浮かべながら・・・・。


先にも書いたように、どの曲を聴いても同じに聴こえてしまいがちなところを

「これは!」と思った一曲だけに、じっくり味わっていただければと思った次第です。