昔ながらの喫茶店の片隅に、常連らしき老人がひとり。
老人が目配せをすると、黙ってうなずくマスター。
かかっていた音楽を止め、一枚のLPレコードを取り出したマスターが、針を下ろす。
鳴り出した音楽に、老人は目を細め、おだやかな笑顔で首を振りながら、拍子を取り始める・・・

これは、先日見た映画「うた魂♪ 」のワン・シーンです。

その後、いかにも古いLPレコードの故か、針飛びを起こして、曲が進まなくなってしまい、

老人もマスターも困り顔。

そんなとき、たまたま居合わせた合唱部の女の子たちが、アカペラで続きを歌い始める。

思わず、マスターも老人もにっこり、という微笑ましいエピソードに続いていきます。


ここで流れた曲というのが、エノケンこと榎本健一の唄う「私の青空」です。

夕暮れに仰ぎ見る 輝く青空
日暮れてたどるは 我が家の細道
狭いながらも楽しい我が家
愛の灯影のさすところ
恋しい家こそ 私の青空

これがですねえ、味があるんですよ。

といっても、エノケン、ご存知でないですかね?

(昭和初期の人ですから、個人的にもリアルタイムでは、断じて!無いのですけれど)

日本の喜劇王とも言われますけれど、歌の方もなかなか。

当時は最先端にモダンなジャズっぽい曲を日本語で歌ってくれるわけです。


緩やかにときが流れる感じといいましょうか、

映画に出てきた、がちゃがちゃしてない喫茶店の空気に似合うイメージです。

たまには、こういう曲を聴くのもいいなあとしみじみ思われたものですから。

たまたま近所の図書館に「エノケンの大全集」という2枚組CDがあったので、

借りてみましたら、じわ~んと来ておる次第であります。


♪お~れは、村じゅうでいちばん、モボだぁと言われぇたおとこ~


という「洒落男」などは、エノケンと知らずとも聞いたことがあるのではないですかね。

それだけでなく、「何もかも懐かしい」と、

まるで地球に戻ってきたときの沖田艦長(宇宙戦艦ヤマトですが・・・)のような

感懐をいだいたりするわけです。


くどいですが、エノケン・リアルタイムでなくても、

こんなふうに思うのですから、

初めて聞く方もそれなりに新鮮な印象があるのではないですかねえ。

DVD「マイ・ブルー・ヘブン」

というところで、

「私の青空」で思い出すのが、「マイ・ブルー・ヘブン」。

思い出すのは当然で、「私の青空」も原曲が、

アメリカの「マイ・ブルー・ヘブン」なのですけれど、

これをタイトルにした映画があったなと。


スティーヴ・マーティンの主演するコメディで、大したお話でないですが、

やさぐれ者が子供たちのために「何か」しでかす、

はーと・うぉーみんぐ・すとーりーです。

思い出しついでに、少々紹介でした。