外はきーんと冷えて、星のまたたく夜のことです。雪女のおかあさんは娘に言いました。



「明日は、おまえが一人前の雪女になるための試験日だからね。

 失敗すると、きびしい罰を受けなくてはならないから、しっかりね」



次の日、ひとりの男の子が、森の中を歩いていました。



「雪が降りそうだから、早く帰っておいで」



おかあさんから、そう注意をされていましたが、

珍しい花や虫たちを探しているうちに、とうとう雪が降り出しました。

男の子が足を速めようとすると、目の前に女の子が立っていました。



「町まで一緒に行ってもいいかしら」



とても寒くてうす暗い道でしたから、男の子はうなづき、二人で歩き始めました。



雪はだんだんひどくなっていきました。

寒そうにしている男の子を見て、女の子は白い手袋を差し出しました。



「これ、貸してあげるわ」



ところが、どうしたことか、手袋をしてみると、かえって寒くなったような気がしました。

おまけにひどく眠くなってきて、ついに男の子はばったり雪の中に倒れてしまいました。



森の中で最初に出逢った人間を凍えさせることができれば、一人前の雪女と認められる。

これが、今日の試験だったのです。



「どんなにきびしい罰が待っているかはわからないけれど、

 このままにしてはおけないわ」



女の子は決心をしました。

白い手袋をした男の子の両手に、ふうっと息を吹きかけました。

すると、白い手袋が見る見るうちに、赤い手袋に変わっていったのです。



だんだんと暖かさがからだじゅうにひろがって、男の子は目をさまし、家に帰ることができました。



その頃、森の奥では大騒ぎでした。



「どうしてなの!とてもきびしい罰があるって言っておいたのに」



雪女のおかあさんが娘に言いました。



「でも、かわいそうだったんですもの・・・」



女の子の答えを聞いて、試験官の長老が言いました。



「かわいそうだって? 罰を与えたくはないが、仕方がない。

 罰として、今日からおまえは普通の人間になるのだ。

 町へ行って、人間として暮らすがよい」



長老の言葉にうろたえるおかあさんをなぐさめながら、女の子はこう考えていました。



「素敵だわ。これからはみんなをかわいそうな目にあわせなくてもすむし、

 白い手袋ではなくて、赤い手袋を最初からあげていいようになるんですもの。雪女ではないのだから」

 




この間から、昔受講した童話創作通信講座で提出した課題を(恥ずかしげもなく・・・)UPしてますけれど、

今回は第4回目に提出した課題でした。

これはけっこう「童話らしい話」になっていたかなと思い出されますが、いかがでしょうか?


*ちなみに、第1回課題 第2回課題 、そして第3回課題 も、れぞれリンクしておきますね。