まったく何気なく、NHKの「迷宮美術館」を見始めて、
「谷内六郎かあ・・・どうしても週刊新潮を思い出してしまうなあ・・・」などと思っていましたら、
夕焼けがらみの特集の中で、やおらドイツの画家フリードリヒが紹介されました。
そこで目に飛び込んできたのが、この「樫の森の中の修道院」なのでした。
フリードリヒという絵描きは知ってはいましたけれど、
それほど多くの作品をフリードリヒのものと特定できるほどには知らないところで、
どうでしょうか、この絵は。
荒涼した風景の中に、廃墟とも思しき修道院。
この大きさでは分かりにくいですけれど、その門の中へは棺が担ぎこまれようとしている。
そして、よく見れば、門のところには十字架が・・・
なんでも最近の赤外線調査では、その十字架にはイエスのように磔刑にされた人物が描かれているといいます。
「イエスのように」と言ったのは、良く見ればその磔刑の人物は明らかに幼い感じがするのだそうです。
フリードリヒは子供のころ、氷の割れ目から川に落ち、自分は救われたものの、
助けに飛び込んだ弟が溺死してしまったということで、
そんな彼が、ドイツの北の果て、リューゲン島で夕暮れの光に神を感じたことから、
その光明に救いを見出し、夕暮れ風景を多く描くことになったのだと。
死を間近にして描いた「大狩猟場」も、やはり夕景でした。
19世紀前半ですから、まだまだ画壇は古典的なアカデミズムに支配されていたのではないでしょうか。
そんなときにフリードリヒは、暗喩といったものではなくて、
もっともっと暗示的なものを込めた絵を描いていたわけで、
そういう意味では相当に先駆的なことを(もちろんそれとは知らずに)やっていたことになるんではないですかね。
こうして、フリードリヒの絵を改めて見てくると、俄然「もっと見たい!!」という気がしてきます。
ドイツに行けば見られるのか・・・などと思うと、またしても旅心は千々に乱れてということになってきますねえ。
いやはや・・・

