谷本哲は、趣味でゲームを制作しては自サイトに無料公開しているプログラマーだった。

シンプルで中毒性の高い作品を得意とし、ニッチな層から一定の支持を集めていた。
彼は今話題の事件からヒントを得て『Hitomi Slayer』という新作を発表した。内容は極めてシンプル。プレイヤーは剣や銃などの様々な武器を手に、大量に現れる「ひとみそっくりのゾンビ」をただひたすらに刈り取っていくだけの無双風のゲーム。
操作は簡単な上、ストレス発散効果は抜群だと、ユーザーから高評価を受けた。
公開から一週間で自サイトのアクセス数は爆発的に増加し、「最高にスカッとする」「毎日プレイしてる」「倒すのに罪悪感ない」という高評価レビューが殺到した。
哲は自身のブログでこう綴った。
『中山ひとみという人に個人的な恨みはありません。ただ、世の中には溜まったストレスを発散したがっている人がたくさんいるんだと思います。このゲームが、少しでも皆さんの鬱憤晴らしになれば幸いです。新作の構想も進めています。』

「待ってました! 新作楽しみすぎる」
「リアルに失禁演出入れてくれ」
「英治様視点の復讐ゲーム希望」

哲はモニターの前でエナジードリンクを飲みながら、小さく肩をすくめた。
「まあ、世の中こういうもんだよな……」
彼にとってひとみという犯罪者は、ただの「題材」に過ぎなかった。