立石剛は帰宅して、ハイボールの缶をプシュッと開けた。今日も上司に怒鳴られた。文句だけのハゲ親父。あいつのイヤミを聞くだけで無性に腹が立ってくる。それに彼女と3日前にフラれたので機嫌も悪い。だから、いつもの板を開く。

【晒し上げ】中山ひとみに鉄槌をpart.312

新着スレが立ってる。キーボードを叩き書き込んだ。

197 名前:名無しさん@お腹いっぱい。

中山ひとみってマジで存在が汚物だよな顔も性格もゴミすぎて生きてる価値ゼロさっさと死ねば世界が浄化されるわ
書き込んで、送信。
200 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 
 197 同意
201 名前:名無しさん@お腹いっぱい。
この動画見た? あれ見てたら本当にスカッとするよな
剛はニヤリとした。添付されたリンクを押す。それはひとみが刑務所内で犯されてるやつ。彼女の死んだ目。掠れた声。痩せた体に浮く痣。剛は再生しながら、アーモンドを口に放り込む。
「うわ、男もなかなかブサイクやん」
でも、見てるうちに胸のモヤモヤが少しずつ溶けていく。ああ、これだ。これが見たかった。誰かが俺よりずっと下にいて、俺よりずっと苦しんでて、それを見て「自分はまだマシだ」と思える。これがあるから、明日も会社に行ける。剛はもう一本書き込んだ。

こんなブスが生きてるだけで空気が汚染される
刑務所で毎日輪姦されて死ねばいいのに

書き込むと同時に、なんだか全身が軽くなった。ああ、スッキリした。別に中山ひとみって女に恨みがあるわけじゃない。会ったこともない。ただ、誰かを徹底的に貶めて、誰かが徹底的に苦しんでるのを見て、自分のクソみたいな日常が少しだけマシに感じる。それだけ。剛はハイボールを飲み干し、動画をもう一度再生した。ひとみの虚ろな目を見て小さく笑った。
「ざまあみろ」そう呟いて、明日のために寝る準備を始めた。明日も、きっと誰かが新しい動画を上げてくれる。そしたらまた、スッキリして、会社に行ける。それだけで、十分だった。