第一章:いつもの朝、いつもと違う空気
東京の喧騒が朝の光に溶け込む中、春日俊彰はいつものように楽屋に足を踏み入れた。オードリーのボケ担当として、今日も相方の若林正恭と共にあちこちの番組で笑いを振りまく予定だった。
「トゥース!」春日は鏡に向かってポーズを決め、いつもの調子で気合を入れる。しかし、その瞬間、彼の視線が楽屋の隅に固定された。いつもハンガーに掛かっているはずのピンクベストが、ない。
「ん? おい、若林! あたくしのベスト、どこやったんだよ!」
春日は半笑いで若林を振り返る。ドッキリ企画を疑ったのだ。テレビ業界では、春日のピンクベストがネタにされることなど日常茶飯事だった。
だが、若林は眉をひそめて首を振った。
「いや、俺、触ってねえよ。マジでどこ行ったんだ?」
楽屋は一瞬にして静まり返った。春日のピンクベストは、ただの衣装ではない。それは彼のキャラクターそのものであり、オードリーの歴史を象徴するアイコンだった。春日は慌てて楽屋中を探し回ったが、ベストはどこにも見当たらない。
「これは…事件だ!」春日は拳を握りしめ、決意の表情を浮かべた。「俺のベストを盗んだ奴、絶対に許さねえ!」
第二章:捜査の開始
春日は早速、楽屋にいたスタッフや共演者に聞き込みを開始した。まずは、同じ番組に出演していたハライチの岩井勇気。岩井はいつものクールな表情で答えた。
「いや、春日さんのベストなんて誰も欲しがらないでしょ。…でも、さっき廊下で怪しい影を見た気はするな。黒いフード被った奴だったかな?」
「黒いフードだと!?」
春日は目を輝かせ、まるで名探偵のような雰囲気を漂わせた。
「よし、そいつが怪しいな! 若林、行くぞ!」
若林はため息をつきながらも、相方の勢いに巻き込まれる形で捜査に同行することに。二人でテレビ局の廊下を歩きながら、春日は「犯人はきっと俺のピンクベストで一儲けしようとしてるんだ!」と力説した。
「いや、冷静になれよ。あのベスト、別に高級ブランドでもなんでもねえだろ」と若林が突っ込むが、春日は聞く耳を持たない。
二人が局内の防犯カメラ映像をチェックしていると、確かに岩井の証言通り、黒いフードを被った人物が楽屋付近をうろついている姿が映っていた。映像は不鮮明で顔は分からないが、手にはピンク色の布切れらしきものが見えた。
「間違いねえ! あいつが春日のベストを盗んだんだ!」春日は叫び、若林を引っ張って局の外へ飛び出した。
第三章:追跡劇の幕開け
春日と若林は、黒いフードの人物が向かったとされる渋谷の雑踏へと足を踏み入れた。春日は「あぱーー!」と叫びながら通行人に聞き込みを試みるが、誰もピンクベストを持った怪しい人物を見ていない。そこに、偶然通りかかったFUJIWARAの藤本敏史が声を掛けてきた。
「お前、ベスト盗まれたってマジか? ハハッ、そりゃ面白いな! でもさ、渋谷なら怪しい奴はあの辺の裏路地にいるんじゃね?」藤本は笑いながら路地裏を指差した。
春日は即座に路地裏へ突進。そこには、確かに黒いフードを被った人物が立っていた。手に持っているのは、紛れもなく春日のピンクベストだ!
「おい! そこのお前! 春日のベストを返せ!」
春日が叫ぶと、フードの人物は一瞬硬直し、すぐに全力で逃げ出した。
「待てー!」春日はアメフトで鍛えた脚力を活かし、犯人を追いかける。若林は「なんで俺まで走らなきゃいけねえんだよ!」と文句を言いながらも後を追う。
渋谷の路地を抜け、スクランブル交差点を突っ切り、犯人はついに袋小路に追い詰められた。春日が息を切らしながら近づくと、犯人はフードを外した。
そこにいたのは、意外な人物だった――春日の熱烈なファンで、リトルトゥースを自称する日向坂46の松田好花だった。
第四章:真相とピンクベストの行方
「松田!? お前、なんで春日のベストを!?」
春日は目を丸くした。
松田は恥ずかしそうに俯きながら、ポツリと答えた。
「春日さん、ごめんなさい…。私、春日さんのピンクベストが大好きで…どうしても欲しくて…つい、魔が差して…」
若林は呆れたように笑い出した。
「おいおい、ファンならグッズ買えばいいだろ。なんで盗むんだよ!」
松田は涙目で続ける。
「でも、このベストは春日さんの魂そのものじゃないですか! ただのグッズじゃ物足りなくて…。でも、盗んだ後で後悔して、返すつもりだったんです!」
春日はしばらく黙り込んだ後、突然大きな声で笑い出した。
「ハハハ! そうか、春日のベストにそんな思いを込めてくれてたのか! よし、許す! ただし、ちゃんと謝って、あたくしの番組にゲストで出ろよ!」
松田はホッとした表情で頷き、ピンクベストを丁寧に春日に返した。
最終章:ピンクベストの輝き
その夜、春日はピンクベストを着て『オードリーのオールナイトニッポン』の放送に臨んだ。春日は「まあ、色々あったけどな、戻ってくれればそれで良し男!」と笑いながら答えた。
若林は「ほんと、お前らしいよな」と突っ込みつつも、どこか優しい口調で続けた。
「でもさ、春日。あのベスト、ほんとに大事なんだな。」
春日はマイクに向かって叫んだ。「当たり前だ! このピンクベストは春日の魂だ! 」
リスナーたちは大爆笑。ピンクベストは、ただの衣装ではなく、春日俊彰という男の生き様そのものだった。
そして、どこかで松田好花はラジオを聴きながら、微笑んでいた。
「春日さん、やっぱり最高…!」