ひとり線香花火を楽しんでいると後ろから肩をつかまれた。
「なあにひとりで線香花火やってるんだよ」

柿沼直樹通称カッキー
カッコつけで女好きで少々痛い安永宏の苦手とする人物だ。
「別に勝手だろ。」
「そういう一匹狼なところが子猫ちゃんたちにモテるのかな~」
「女なんて興味ねぇ」
それは宏の本音だ。女子は親しい者同士集まってくだらないことしゃべったりするし、トイレに行くにも一緒なのが鼻につく。
「そういうこと言う人に限って好きな子がいるんだよね~」
宏はなにも言わずに線香花火の先端を見つめる。
「もしかしてひとみちゃんのことが好きなの?」
その名前を耳にしたとたん宏は振り返り叫ぶ。
「そんなわけないだろ!」
あまりの迫力にカッキーは何も言えずにただ黙って宏を見つめた。宏は火の消えた線香花火を足で揉み消しその場を立ち去る。