「お風呂ってスッキリするぐらいしかメリットがないよな。なんなら入らないほうが、体力を使わないし、自然にやさしい。時間を節約したら他の有意義なことに使える。だから、メリットが多いと思うわ」

宏の意見にひとみが同意した。

「あたしもお風呂は苦手。シャワーを浴びたり、ドライヤーで髪を乾かす体力などを想像すると、お風呂までが遠く感じる。ごはんはデリバリーなどで頼めばすぐ食べられるけど、お風呂はラストにドライヤーという強敵が待っていることを考えるとしんどい」

「でも風呂入らないと不潔じゃん。おれっちは毎日せっけんで洗ってるぜ」

「ふとってるだけで体臭キツイもんな」

朗の肩に手をのせて笑う司

「ボクはたまにバラ風呂に入ってるよ」

「カッキーらしいな。おれもめんどくさいときはシャワーだけで済ますときあるかな」

英治が言うと徹も「おれも」とつぶやく

「でもひとみっていい香りしてるよな」

哲郎が思い出すように言う。いつだったかひとみの髪からフローラルな香りが漂って興奮したことを思い出した。

「“香り”を抑えるために、石鹸の香りがする香水を何個か準備しているの。ただ、ボディーシートで身体は拭くし、洗顔も毎日している。フケが落ちないよう頭を触らないように習慣づけているの。」