「子供の頃からアニメが大好き。根っからのアニメファン。 中学に入った頃、周りに合わせようとドラマを見てげんなりしてしまった。その後もドラマに再挑戦しては不快な気持ちになってドラマアレルギーになっている。 キーキー騒ぐ女、うるさい足手まとい担当女、不良なのに正義ぶってる奴、自称型破りの偉そうな奴、いちいち登場人物が癇に障る。 母親が好んで見てたサスペンスドラマも、あれだけ不快な犯罪者を描写した上で復讐をさせ、最後は自ら命を絶つ。 おやくそくと言うのはアニメにもあるはずなのにドラマだと不快で気持ち悪い。」

亜子が腕を押さえる。

「 ぼくは日本のドラマなんて見ないけど、海外ドラマは好きで見てるよ。」

夏樹が笑顔で言う。その顔を見ると少し嫌な気分が落ち着くから不思議だ。亜子は黙って夏樹を見つめる。

「たぶん吹き替えで声をつけてる人たちが耳障りよく伝わるようにしているか、字幕を追ってる分、感情への意識がうすれてるのかもしれないね。ぼくは人の顔の区別がつかなくて声とか仕草で人を判断しているから、日本のドラマが理解できなくて不快感を感じているのかも。」

「私だってドラマは苦手。というか嫌い。 女同士のドロドロとした恋愛模様とか、すっごく不快。っていうか怖い。」

結衣が素直な意見を言うと舜が動画を見ながら呟く

「海外ドラマは題材が豊富でかつ日本よりタブーが少ないからまともなドラマが作られている。今の日本のドラマはカルト宗教のプロパガンダビデオみたいなもんさ」

「ずっとなに見てるの?」

「芸人のネタ。ぶっちゃけテレビのバラエティ番組なんかよりこっちの方がはるかにおもしろいよ」

亜子と結衣が覗き込むとそこに映るのはテレビで見たことある芸人だけど、テレビではやらないような雰囲気のネタに2人ともつい笑ってしまった。

「舜がこういうの好きなんて意外。お堅い社会問題の動画を見てるのかと思った」

「ぼくだってお笑いは見るよ。お笑いは地球を救うんだからね」