「許されない恋だったけどあたしは幸せだったよ」


ひとみは新庄と撮ったプリクラを眺める。

初めて撮ったプリクラに写る笑顔の自分、この頃は今まで生きてきた中で一番満たされていたと言ってもおかしくない。

この人なら一緒になってもいい、そう思っていたのに………。

ひとみは強くプリクラを握りしめる。彼とはもう縁を切ったはずなのにそれでも彼を追い求める自分がいる。

彼の口から出た言葉が全て嘘とは思えない。彼がひとみを好きだったのは間違いなく事実、ひとみといるときの彼は楽しそうな雰囲気だった。

でも、結局彼はひとみではなく家族を選んだ。


「あたしってこういう運命なんだね。絶対に報われない恋」


子供の頃に憧れた人魚姫。恋に破れてそのまま消えてしまう儚い存在。

今、ひとみがいなくなっても誰も気にしない。