婚約者を失った菊地英治冴子の声が聞きたくて電話した。話の内容なんてどうでもよかった。君の声をいつまでも聞いていたい。君の声をずっと聞いていたかった。なにもいらないただ冴子と暮らす人生それだけが望みだった。最愛の人を失って菊地英治は人を愛する感情をなくしてしまった。彼の目は死を見つめているかのようだ。何かの拍子にふっといなくなってしまうような儚さを抱え彼は婚約者の意志だった教師をしている。