ホワイトデーに菊地英治は冴子にキャンディをあげた。300円で購入したモノだったが彼女の喜ぶ顔を見るだけでこちらも幸せになってくる。
相原進学塾でせいっぱいのろけているとなかまたちがひやかしてくるが、そんなのもかえって心地いい。
「おれも純子にパンダさんのクッキーあげたけどな」
天野司が負けじとのろける。
ただホワイトデーはバレンタインデーと比べて地味なのか英治と司以外に女子に渡したという案件がない。
「カッキーは彼女さんたちに渡してないのかよ」
立石剛がカッキーに不機嫌そうな表情で絡む。ここ最近フラれたばかりで機嫌が悪いのが顔に出ている。
「ボクは普段から子猫ちゃんたちに奉仕しているからね~」
「けっくだらねえ。ホワイトデーなんて菓子屋の陰謀だろう」
安永宏がマンガ雑誌を読み始める。
「おれっちもホワイトデーは嫌い。プレゼント選んだりするのめんどいもん」
日比野朗はポテチをつまんでいる。
「あれ?久美子からチョコもらわなかった?」
英治が宏に尋ねる。
「もらってねえよ。」
「そうか、これにて安永と久美子の関係終了」
司が右手を額に当てて言う。
「バレンタインの時もそうだけどよ。ホワイトデーって何?すごいの?菓子あげるだけでそんな好きとか嫌いとか決めつけていいの?」
「うわあ~こいつ何?はすってるな。」
「ホワイトデーって何?はすってる~!ヤスナガ改めてハスナガだ。ハスナガヒロシに改名しろ。」
勝手なことを言い出す英治と司を無視する宏だった。