私は、ひとみが大嫌いだ。
いつも愛らしくて、清らかで、真っ直ぐで、私のことを忘れてしまったひとみが大嫌いだ。
こんなことを思う私ばかりが醜いような気がして、消えてしまいたくなるんだ。

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「だから、私と冴子の分も幸せになってほしい。それが私の願いだよ」
真っ白なウェディングドレスを見に纏ったひとみを前にして英治はそう言い放った。
中学の頃からひとみに対して冷たい態度だったが、瞳の奥にうっすら感じる優しい心、ひとみが気づかなかったそれを唯一気づいたのは冴子のみ。だから、英治と冴子はかけがえのない存在になった。
だけど、彼女はこの世にいない。
彼女がいなくなったと同時に英治は人を好きになる感情を忘れてしまった。
それでも人の幸せを願う心はあるらしい。ひとみは自分を愛してくる伴侶に向き合った。