[ひとみ]さんの運命の相手は 「今のお付き合いしてる相手です。」
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その生物はひとみの顔を見てそう言った。
｢あたしには今、おつきあいしてる人なんていないわ｣
ずっと好きだった相手にフラれ、恋をすることをやめてしまった。
｢いるじゃない。キミが気づいていないだけだよ｣
そう言ってその生物はひとみの前から姿を消した。
（あたしの運命の相手は近くにいるの？）
しばらくぼーっとしていたら肩を叩かれた。思わず手を払ってしまう。
｢ひとみ？｣
この声は佐竹哲郎。中学生の時に親しくしてたけど恋人とまではいかない中途半端な関係だった彼、ひとみは思わず顔を見つめる。
｢なんか俺の顔についてるのか｣
｢べ、別に……｣
哲郎を前にするとどうしてもイジワルしたくなってしまう。
｢なんだよかわいくねぇの｣
｢そっちこそ。かっこつけのダサ男｣
｢なんだと性格卑屈のネガティブ女｣
顔を合わせるとどうしても悪態をついてしまう。
（こんな奴は絶対運命の相手なんかじゃない）
ひとみはそう心のなかで決めつけた。