橋口純子がカフェでバイトを始めて3ヶ月になろうとしている。
前々から純子の入れるコーヒーがおいしいとうわさになり、そこまで言うならとことん極めていこうとしたのがきっかけだった。
たかがコーヒーといってもその世界は奥深い、純子はすっかりその虜になってしまった。
彼女の働くカフェには中山ひとみ、堀場久美子、朝倉佐織というおなじみのメンバーがそろう。なにって特別な事があるわけではない、女子同士集まって日常のたわいもない話をするだけだ。
「もうじきバレンタインだね。久美子は安永君に何かあげるの?」
ひとみが口を開く。
「う~ん、彼甘いもの好きじゃないから・・・・」
「チョコじゃなくてもいいじゃん。何か安永君が喜びそうなのとかさ・・・」
「そういうひとみはどうなの?誰か好きな子とかいないの?」
「す、好きな子!?」
ひとみの目が大きく開く。明らかに動揺している。何かあるとすぐ顔に出るのは中学生の頃から変わらない。
「何言ってるの?ひとみは英ちゃんのことが好きなんだから。」
純子はひとみと菊地のことになると気が強くなる。中学の頃から応援していた恋、二人には幸せになってもらいたいと思っているが・・・・・最近の菊地は純子が知っている菊地と変わったような気がして心配だ。
もし、菊地がひとみを振ったらひとみはショックのあまり自殺を考えてしまうんじゃないのか・・・・・そうなった場合自分がひとみをうまくフォローできるのか自信がない。
「何言ってるのはこっちのセリフ。菊地君は冴子のことが好きなの!そして冴子も菊地君のことが好き。つまり二人は相思相愛なの!そんな二人の仲を裂くなんてサイテーだよ。いい加減ひとみもあきらめな!!」
久美子にすごまれしゅんとなるひとみ
「でもさ、英ちゃんも迷ってるんじゃない?ほんとはひとみのことが好きなのに照れ隠しで冴子さんと付き合ってるんだよ思うよ。」
「そうかな」
今まで黙っていた佐織が口を開く
「瀬川さんがなくなった日、病院に駆けつけた菊地君が冴子さんと抱き合ったじゃない。あれは絶対照れ隠しなんかじゃなくほんとに愛し合っているからこそできる行為だと思う。」
たしかにあのハグには純子も驚いたし、どこか寂びさも感じた。菊地英治が自分の知らないとこに行ってしまったような気がして・・・・・
「そうだ!ひとみ。今度のバレンタインに英ちゃんに告白しなよ。ひとみがはっきりしないから英ちゃんも愛想が尽きたんだよ。」
「もし・・・・だめだったら・・・・・」
「そんな気の弱いことを言ってたらダメ!自信を持って!私はひとみの味方だから。」
純子はひとみの手を握る。ひとみは黙ってうなずく
それを見た久美子はため息をし、コーヒーを飲み干した。