「ぐはっ」
山賊が血を噴出し倒れる。そばにいるのは少女といってもいいくらいの女。手には剣が握られている。どうやら彼女が山賊を倒したようだ。
「はぁはぁ・・・・・・このくらいで息が上がっているようじゃだめね。」
彼女の名はスザンヌ・マーガレット
ある目的のために、旅をしている。
マーガレット家といえば名の知れた貴族で、評判もよく民から慕われていた。スザンヌはそこの令嬢として大切に育てられきた・・・・と思いがちだが、彼女は物心ついた頃からおてんばで有名だった。まるで男の子のような振る舞いに将来は剣一本で旅に出たいとか言っていた。そんな彼女に母親を始め回りの人間はなんとか彼女を貴族の娘らしく振舞わせようとしていたが、唯一父親だけは味方をしていた。
スザンヌもそんな父親が大好きだった。
でも、そんな幸せも長くは続かなかった。
あの日は新月だった。
すっかり寝静まったなか、スザンヌは突然、目が覚めてしまった。
いつもならまた、眠りにつこうとしたのにその日だけは寝る事ができなかった。
今思えばそれは虫の知らせってやつだったのかもしれない。
ベッドから降り、部屋を出る。当然、誰もいない。
しかし、彼女の耳にかすかな物音がした。
物音は父親の部屋から聞こえる。
嫌な予感がした。そして気づけば走り出していた。
父親の寝室のドアを思いっきり開けた。その瞬間、彼女の目に衝撃の光景が入ってきた。
その光景に言葉も出ない。なぜなら父親が血だまりの中倒れていたから・・・・・
そばには一人の男、鋭い目に炎のような赤い髪、手には短剣を持っている。
スザンヌは恐ろしさのあまりその場に座り込んでしまった。
そこへ、1匹の獣のような生き物がやってきた。
ゼルウィー族・・・・・イタチのような種族で手には鋭い爪を持っている。よく高貴な身分の人間がお供として連れているイメージがある。
「終わった?」
そのゼルウィー族は赤毛の男に話しかける。
「ああ」
男はその場を離れようとする。
「ちょ、ちょっと待ってよ・・・・」
スザンヌは震えながらも男に声をかける。
「あなたが・・・・・お父さんを殺したの?」
男はだまってうなずく。
「どうして・・・・・?」
「世間知らずのお嬢様には知らない事だ。」
次の瞬間腹に鋭い痛みが走った・・・・・と思ったらそこからの記憶が途切れた。
目を覚ますと目の前には妹のサリーの顔。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「だいじょ・・・・つ・・・・あっ!?お父さん・・・・あの赤い髪の男は?」
あれは夢だったのか、起き上がって父親の部屋に入る。
しかし、父親の姿はなく、そこには赤くどす黒くなった血痕あった。
父親の葬儀のあと、とんでもない事実が発覚した。父親が多額の横領をしていたという事を。
それを聞いたとき、スザンヌはショックをうけた。
「おそらくやったのは赤い翼の人間だろうな。」
赤い翼とは悪徳貴族なんかを粛清する秘密組織の名らしい。スザンヌが初めて耳にした名だ。あの赤い髪の男はその赤い翼の一員なのか?
そのときから彼女は決意した。父親を殺したあの男に復讐することを。