窓の外を見ると真新しい制服に身を包んだ中学生たちの姿が見えた。どの顔も希望にあふれている。これから彼らの待つ未来は明るいだろう。
そんなことを考えながら男は思い出していた。
自分たちを散々コケにしたあの悪ガキどものことを・・・・・

男は神田でDo商会という会社を経営していた。社員は男を入れて4人、金融業と不動産取引で細々とやっていたが、あるとき舞い込んできたとある依頼によって男の運命が変わった。
大手建築会社の社長が記したという1冊の黒い手帳を手に入れること。もし手に入れることができたら破格の報奨金がもらえるとのことだった。
しかし、うまくいかなかった。
相手は中学生、簡単に手帳は手に入る。そう思っていたが、ニセモノをつかまされあげくその様子をテレビさらされるというヘマをしてしまい、警察に追われる身となってしまった。
会社当然閉鎖、今は社員ともども都内にあるマンションの一室にかくまわれている状態だ。

「ごほっごほっ」
最近、やたらと咳が多い。口に当てていた手を見ると赤いものが見えた。
今までしてきたことのツケが体を蝕んでいるのか・・・・・
きっと、自分はもう長くないだろう。
男はぐっとこぶしを握り締めた。
先日、上から伝えられた指令が頭をよぎる。
“あの中学生たちを抹殺しろ”
確かにあいつらには腹は立っている。でもそれだけだ。殺したいほど憎んではいない。
夢や希望に満ちたあいつらを・・・・・死なすわけにはいかない!
男の目は窓の外の中学生ただじっと見つめていた。