大化物 (喜三郎 → 鬼三郎 → 王仁三郎) | 瑞霊に倣いて

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  『霊界物語』が一組あれば、これを 種 にしてミロクの世は実現できる。 
                            (出口王仁三郎)  

・大化物  (上田)喜三郎 → 鬼三郎 → (出口)王仁三郎

 

 “綾部の大本には出口なおの大気ちがいがあらわれて、化かしてご用がいたさしてあるから見当はとれんなれど、もう一人の大化物をあらわせて、神界のご用をいたさすぞよ。この大化物は東から来ておるぞよ。この大化物があらわれてこんと、なにもわからんぞよ(明治三十三年旧正月七日)”

 

               (「大本神諭 第二集」より)

 

 

 “冠島開きの後の筆先に「今度沓島へ参るのは、まだ昔からなきことざぞよ。綾部本宮出口直、出口おに三郎、出口澄、沓島開きにやるぞよ。万古末代名の残ることであるぞよ」(明治三十三年旧八月一日)と出た。出口おに三郎とは喜三郎をさすらしい。

 

 喜三郎は出口家に婿入りしながら上田家の長男であるため籍が抜けず、戸籍上ではいまだに上田姓だったが、筆先の方が先に出口へと変わっていた。同時に喜三郎を「おに三郎」とはどういうわけか。筆先は平仮名ばかりでつづられるから、「おに」にどの漢字をあてるかは不明である。そこで役員たちははたと手をうった。

 「やっぱり会長の身魂は鬼であった。鬼三郎じゃ、鬼三郎じゃ」

 「ウシトラの金神さんもヒツジサルの金神さんも、どっちも鬼門の金神じゃ。それに連なるからには、わしは鬼でも蛇でもいっこうにかまわん」と喜三郎はいうものの、あまり良い気はせぬ。しかし穴太で友人に預けた書付の末尾に無意識に「鬼三郎」と署名したのを思い出し、「おに三郎」の命名がすでに神界で決まっていたことを知るのだった。”

 

    (十和田龍(出口和明)「オニサブロ― ウーピーの生涯 明治篇」新評論より)