窈子(ようこ)さんの霊界探検 | 瑞霊に倣いて

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  『霊界物語』が一組あれば、これを 種 にしてミロクの世は実現できる。 
                            (出口王仁三郎)  

・「窈子(ようこ)さんの霊界探検」(昭和35年 大本宣教部編)
 

 “・・・この本の主人公、窈子さん(大本三丹主会の元支部長N氏の二女で、当時10歳)も、昭和11年2月28日の深夜から、翌3月1日の未明にかけて、大本聖師の出口王仁三郎に伴われて夢で霊界に入り、あの世の親族の家を訪問した。目覚めた後、その様子を父に語り、父のN氏が、後年、記録としてまとめたのが本書である。
 夢の中で窈子さんは、王仁三郎と一緒に三途の川を渡った。川には膿のような泥水が流れており、大きな蛇が口をあけて群がっていた。王仁三郎が、「ばばアはおるかい」というと、頭に二本の角を生やしたシワくちゃの老婆が小屋から出てきた。しわがれ声で「着物を脱げ」と迫ってきたが、王仁三郎が「脱がせるなら脱がしてみい」とタンカを切り、「惟神霊幸倍坐世(かむながらたまちはへませ)」と唱えると、二人ともパッと向こう岸へ渡ってしまった。
 それから二人は、地獄の八街(やちまた)の関所で閻魔大王に会い、地獄の責め苦を見回り、薄暗い中有界を通って、天国(神界)に入った。天国は第一天国、第二天国、第三天国に分かれており、窈子さんはそれらの世界を順に見て歩いたが、先祖の家は第一天国にあった。その様子を窈子さんは、こう語っている。
 「玄関で聖師さんが『ごめん』といわれたら出て来んさったのが、Tおばさんだった。『マアとしちゃんか』『いいえ窈子です』と答えた」
 何気ない会話のようだが、父のN氏によれば、窈子さんは「Tおばさん」を知らないという。彼女はN氏の先妻であり、彼女が窈子さんと間違えた「としちゃん」は、窈子さんが2歳のときに亡くなったTさんの長女だというのである。
 また、窈子さんは、自分が生まれるはるか以前に亡くなっている三代前の先祖(父親の祖父)にも会い、その顔つきや仕種(しぐさ)の癖、好みなどを詳しく語っているが、まさに故人に行き写しだったと、N氏は驚嘆している。不思議な話ではないか。
 その後、窈子さんは、86歳で亡くなったおじいちゃんや、17歳で亡くなったN氏の弟らと会い、さまざまな霊界体験を積み重ねる。
 彼女の体験では、あの世でも親族は集まって暮らしており、現世の側(がわ)から飲食物をお供えしたり、祝詞をあげたりすると、それがそのままあの世まで伝わって「結構な」暮らしができるそうだ。
 窈子さんの霊界滞在は長期にわたり、N氏の弟から羽衣(はごろも)をつけて空中で舞う舞を習ったり、霊界の王仁三郎に歌を習ったり、天国の小学校に通ったり、町で買い物をしたり、祭りを見物したりした。その世界は、おおむね地上と変わりはないが、欲しいものが、何でもパッと出てくるところが大いに違っている。ものがパッと出てくるときは、チリンチリンというよい音がするという。
 子供の語ることなので童話的な語り口になっているが、幼いころの窈子さんに、特異な能力があったことは確からしい。彼女は昭和10年の第二次大本事件が起こる以前にも、大本但州別院が警察によって破壊される状況を夢で予知し、父親らに語っていたというし、父の拘留も夢で予知していたという。また“幽体離脱”もあったようで、N氏によると、「いま体が上にあがりかけて、怖くて目が覚めた」などと、何度も父親に語っていたという。(原本では登場人物はすべて実名だが、窈子さんサイドの希望により匿名にしたことをお断りしておく)”

      (「ブックス・エソテリカ第25号 幽霊の本」学研)