その夜、雨が降る露天大排檔は、、
自分だけの野外コンサート会場となった。
なんて、古いYAMAHAの広告みたい、、
イースターの休みも終わっちゃいましたけど、連日天気はすこぶる悪く、、
前半香港、後半大陸で過ごしたわたしも 、室内で酒を煽るのは限界に達しました。
なもんですから、最後の晩は傘さして行ったんですよ、いつもの屋台に。
案の定、空いてました。
と、言うより他に客がいません。
こうなると逆に気分がいいですよね。
とりあえず、いつもの肴を頼んで、、
これは韮の串焼き。
するめ。
牛肉の串焼き。
独占状態ですから、注文したものも同時に運ばれて来ました。
さて、いつも一人で飲みに来て、何をしているかといえば、、
すごいですよね、最近の携帯電話は。
こうやってライブのビデオなんか見れるんですから。
ストレージも32GBのSDカードがぶち込んであるんで、フルコンサートのビデオがいくらでも入る。
音楽だってCD100枚分ぐらい入れてあります。
これがあれば山で遭難したって、まず飽きないでしょうね、、
ああ、電池がもたないか、、
まあ、いいや。
この晩、最初に観たのはQueenの1986年のライブ、、ホレ、有名なウェンブリーのやつです。
といっても、公式にリリースされた7月12日の方じゃなくて、、
7月11日、金曜日のほう。
正直なところ、演奏はこっちのほうが良いと思うんですよね。
なんといっても、、
博士が間違えないで弾いてる。
12日のほうはよく出す気になったな、、ってほどミスが多いんです。
じゃあなんで11日のほうを出さなかったのかといえば、、
思うに、途中からどしゃ降りの雨になったからでしょうか。
つまり、こんな夜に露天屋台で楽しむには、ぴったりのビデオというわけです。
一人で広大な屋台を独り占めしてますから、気持ちもかなりハイになりました。
いつの間にか、大声で歌ったりしてたんです。
やがてビールねえちゃんが電動自転車にまたがり、やって来て、、
わたしにビールを一本押し売りしたあと、他に客もいないためか、さっさと帰って行きました。
気が付けば雨もいつの間にか止んでいます。
そこへ他の客が二組ほどご来場となりました。
さすがにヘッドホンしながら、大声張り上げて歌うのはまずいので、、
インストもののビデオに変えたんです。
これは2002年、BECK師匠の日本公演です。
このときはわたしも仕事ほっぽらかして、、じゃないな、緊急一時帰国をして観にいきました。
映ってるのは、ツアーメンバーのジェニファーおばさんですけどね、、
双眼鏡で見て、あんな老けてるとは思わなかった。
それから、、
これは日本が世界に誇るフュージョンバンド、カシオペア。
この人たち、うますぎるよな、、やっぱり。
酔いがさめそうなので、ふたたびBECK師匠の時代を遡ったライブを。
ええっと、このハゲたおっさんは誰だっけ、、
そうだ、浜やん!
ちがうな、、ヤン・ハマーだよ。
すごいな、、ギター対シンセの壮絶なバトル、、
まさに命張って音楽やってます、って感じ。
サイモン・フィリップスも若い。
やっぱりBECK師匠ですよね、彼を有名にしたのは、、
すでに口ラッパでギターやシンセの音を口ずさみ、テーブルを叩いてリズムを刻んでいました。
激しくアタマを前後に振る様は、まるで悪霊に取り憑かれたみたい。
気が付けばビールも4本目です。
おとなしく歌を歌ってたほうがよかったかな。帰れなくなるとまずいし、、
そんなわけで、トリを飾るのは、、
1975年のQueen、ハマースミスオデオンのクリスマスコンサートでした。
このビデオ観て、最近特に思うのは、、
若いってすばらしいことですよね。
さて、4本目のビールを飲み干したら、、
お粥を食べて帰ることにしましょう。
それまで携帯のスタンド代わりにしていた、お茶碗に粥をよそって、、
すすろうとしたら、アンコールがあったんですよね。
こりゃいかん、、とばかりに、あわてて立てかけました。
ああ、お粥が冷めちゃうな、、でも最後まで観たい。
帰ってから観れば良いんだけどさ。
まあ、こんな感じで酒好き、音楽好きの、、独りの夜は更けていくのでした。