電脳はかく語りき | らおぱんと呼ばれて

電脳はかく語りき

どうも、元技術者です。

じつは3日前だったかな、主に仕事で使っているデスクトップのPCが壊れちゃったんですよ。

毒虫の一件があった日なので、これもたたりかと思ったのですが、翌日は酒盛り出張なので修理は帰ってきてからだな、と思いその場の仕事はノートPCで済ませました。

出張から帰った夜は寝付いたのが深夜の3時ごろだったでしょうか、目が覚めたのは10時を過ぎていました。

前日の酒盛り昼食から何も食べていなかったので、というか食べたく無かったので、インスタントのミルクティに湯を注ぐと、とりあえず冷えたオレンジ一個を食べ、おもむろに蓋開けっ放しのPCをいじり始めました。

状態はとにかく壊れた、、としか言いようがないです。
突然スイッチ入れてもウンともスンとも言わなくなりました。今までこっちのショップパソコンに頻発する怪問題を、ことごとく解決してきた私にも、相手が立ち上がってくれないのではお手上げです。

まだポルターガイストみたいに暴れだしたり、中から人の声が聞こえたりした方がこりゃいかんな、と緊張するのですが、何の反応も無いというのはかえって不気味です。

"これは現代の技術では修理できないかもしれないな、、"

と思い、修理らしいことを始めて10分ぐらいで、こちらの電話イエローページみたいなサービスに電話していました。ちょうど日本の104みたいなものでしょうか、住所を言って近所にPCの出張修理してくれるところをたずねたところ一軒ありました。

小一時間で来てくれたのは、GパンにTシャツのえらく若い兄ちゃん。手にビニール袋を提げてます。
まあ、これは結構こちらではよくあることなんですよ、やはり脳みそが新鮮でないと向かないんでしょうね。
もっとも若いやつは態度が悪い場合が多く、私も仕事モードが立ち上がって、喧嘩になることもたまにあるのですが、、。

このお兄ちゃんは声もでかくなくて、好青年でした。

これですね、と言って床に置かれた中身がむき出しになっている、PC本体の前にしゃがみこみました。
カチカチと電源スイッチを押し、やはり私と同じように首を傾げます。

私は、
「なにをやってもダメだったよ、ウンともスンとも言わないんだ。きっと強力なウイルスにバイオスから破壊されたんじゃないか?」(それでも電源ランプぐらいは付くでしょうね、、)
なんて言って、もう丸投げです。

彼はしばらくしゃがんだまま、う~んとうなっていました。私はてっきりこのままウルトラマンVSスカイドン状態になるかと思ったのですが、突然振り向いてこういいました。

「電気炊飯器ありますか?」

え?そりゃありますけど、ちょっと貸してくださいなんていうから取りに行きました。

"なんだ腹でも減ってるのかな?それならそうとはっきり言えばいいのに、、まったく炊飯器で電脳直すなんて聞いた事が無い、、"

なんて思いながら取って来た炊飯器を彼に手渡します。

そのあとでわかったのですが、彼が必要だったのは炊飯器では無く、その電源コードだったようです。
つまり、炊飯器とPCの電源コードは本体側の差込形状が同じでした。

そしてコードを差し替えて、電源ボタンを押すと、、おおっ!、電源ランプが点灯してファンが回り始めるじゃないですか!

私は顔面蒼白になりました。
R・シュトラウスの名曲がアタマの中で鳴り響き、PC本体が1:4:9の黒い物体に見えたような気がします。要するに2001年宇宙の旅の最初のシーン、お猿が骨でものを打ち砕くことに気が付いたのと同じ状況で、カルチャーショックというやつを覚えました。

「すごいな、最近のウイルスは電源コードに感染するのか、、」
「違いますよ!、電源コードが断線してたんですよ、、」
「ああ、そうか、、そうとも考えられるな、、」

しばし、白い時間が流れました、、。PCは正常に立ち上がり、ウインドウズが起動しています。

「で、君のお店でさ、電源コードなんかも売ってるんだよね?あれば一本もらうよ、ほら、ご飯炊くたびに電脳使えなくなるのも不便だから。」
「・・・・・・・・・・。わかりました、お電話いただいたときに訪問修理代50元って言いましたけど、今日はたいしたことしてませんので、電源コード代込みで40元でいいです。それでは一旦戻ってコードを取ってきます。」

な、なんという好青年、この日本人元技術者にも処理できなかった難問を意図もたやすく解決し、ましてやそれを全く鼻にも掛けない謙虚な姿勢、、よ、よんじゅうげん、コードこみぃ、、、?。
う~ん彼こそ技術者のカガミだ、服装は最悪だけど、、。

と修理が安く上がったので関心しておりましたが、ようするにもう歳なのかな?としみじみ考える元技術者でした。


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