マイケル・ハドソン:アメリカの新冷戦の巻き添えとなるドイツ | あやちゃんのブログ

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マイケル・ハドソン:アメリカの新冷戦の巻き添えとなるドイツ

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マイケル・ハドソン:アメリカの新冷戦の巻き添えとなるドイツ

<記事原文 寺島先生推薦>
Michael Hudson: Germany as Collateral Damage in America’s New Cold War
筆者: マイケル・ハドソン(Michael Hudson)


ミズーリ大学カンザスシティ校経済学部教授、バード大学レヴィ経済研究所研究員。近著に『文明の運命』。原著はUNAM(メキシコ自治大学)制作のInvestigación Económica(経済研究)誌に掲載。
出典:naked capitalism 2024年4月1日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年5月4日



欧米の評論家たちは、「衝撃と畏怖」という対ロシア制裁の影響をどれだけ過大評価していたかを認めたがらないだけでなく、ロシアが自国経済を方向転換させるために行なった驚くべき仕事を認めることにも抵抗があるようだ。

 

ロシアはほとんどのヨーロッパの輸出品を急速に代替し(自動車や航空機部品など、埋めるのが難しいものもあった)、貿易活動を中国、インド、トルコ、アフリカ、その他の「グローバル・マジョリティ(世界の多数派)」諸国に転換させた。

しかし、ロシアはまたかなりの自給自足国家であり、原材料にも恵まれていた。

 

対照的に、ドイツは、かつてはロシアから非常に有利な価格で輸入していたエネルギーへの依存状態に対しては何の解決策もない。

それにしても......もしドイツがノルドストリームの爆破事件の背後にアメリカがいると非難したら、どうなっただろうか? アメリカ(とイギリスとバルト諸国)は、ドイツは狂った非難をして、邪悪なプーチンを助けている、と叫んだだろう。そして、もしショルツがそうする勇気があったなら、ロベルト・ハベック*とアンナレーナ・バーボック*もアメリカに混じって吊るし上げに加わったであろう。


*どちらも同盟90/緑の党に所属し、元同党党首(共同党首)。ロベルト・ハベックはでショルツ内閣の副首相、兼経済機構保護大臣、アンナレーナ・バーボックはショルツ内閣の外務大臣である。

2022年以降のドイツ産業の解体は、アメリカの地政学的戦争における巻き添え被害を受けたものである。アメリカは、中国、ロシア、そしてその同盟諸国の繁栄と自給自足の高まりをアメリカの覇権に対する容認しがたい挑戦とみなしている。長くコストのかかる戦いになると予想される事態に備え、米国の戦略家たちは2022年、欧州をロシアとの貿易・投資関係から遠ざけるために先手を打った。要するに、彼らはドイツに産業自殺を強いて、米国の属国になるよう求めたのだ。これによりドイツは、アメリカの新冷戦における最初の、そして最も直接的な標的となったのだ。

2021年1月に大統領に就任したジョー・バイデンと彼の国家安全保障職員は、中国をアメリカの第一の敵と宣言し、その経済的成功をアメリカの覇権に対する存亡の危機とみなした。自国の軍事防衛を強化する中国の市場機会が欧州の参加を呼び込むのを防ぐため、バイデンの一団は、中国とその支持国であるロシアを孤立させようとする動きの一環として、欧州を米国の経済軌道に引き込もうとした。

この戦略には、欧州の対ロシア貿易制裁と、欧州が中国中心の新興共栄圏に飲み込まれるのを防ぐために、中国との貿易を阻止する同様の動きが必要だった。米中戦争に備えるため、米国の戦略家は中国がロシアの軍事支援を受けるのを阻止しようとした。その計画とは、ウクライナを武装させることでロシアの軍事力を消耗させ、政権交代をもたらすかもしれない血なまぐさい戦いにロシアを引きずり込もうというものだった。非現実的な望みは、ソビエト連邦を終わらせたアフガニスタンでの戦争に有権者が憤慨したように、この戦争にもロシアの有権者が戦争に憤慨することだった。この場合、有権者はプーチンに代わって、エリツィン政権と同じような新自由主義的な親米政策を追求するオリガルヒ的指導者を選んでいたかもしれない。しかし、結果は正反対だった。ロシアの有権者は、攻撃を受けた国民なら誰でもすることをした。つまり、プーチンの周りに集まったのだ。そして西側の制裁は、ロシアと中国に自給自足経済になることを強いたのである。

・・・・・世界規模の新冷戦を拡大するアメリカの計画には問題があった。ドイツ経済は、ロシアへの工業製品の輸出とソビエト崩壊後の市場への投資によって繁栄を謳歌する一方で、ロシアのガスやその他の原材料を比較的安い国際価格で輸入していた。通常の条件下では、国際外交が国家の利己主義に従うことは自明の理である。米国の冷戦戦士たちにとって問題だったのは、ロシアとの有益な通商を放棄するという不経済な選択をするよう、ドイツの指導者たちをいかに説得するかということだった。その解決策は、ウクライナとロシアの地でロシアとの戦争を煽り、ロシア恐怖症を煽って、ヨーロッパとロシアの通商を遮断する膨大な制裁を課すことを正当化することだった。

その結果、ドイツ、フランス、その他の国々はアメリカとの依存関係に陥ってしまった。アメリカ人が婉曲的に、このNATO主導の貿易・金融制裁をオーウェル流の二重表現で説明する言い方を借りれば、ヨーロッパは、これまでの3倍から4倍の価格でアメリカの液化天然ガス(LNG)を輸入し、ロシアとのビジネス関係を切り離し、製造業や化学製品の生産に必要なガスを得るために、主要な工業企業のいくつかをアメリカ(あるいは中国)に移転させることで、ロシアへのガス依存から「解放」されたのである。

ウクライナの戦争に参加したことで、ヨーロッパは軍需在庫を枯渇させた。現在、欧州は再軍備のために米国の軍備供給業者を頼るよう圧力をかけられている。米政府高官は、ロシアが西ヨーロッパに侵攻してくるかもしれないという幻影を宣伝している。

 

米国の兵器でヨーロッパを再武装させるだけでなく、ロシアがNATOの軍事費に対抗して自国の軍事費を増やし、自国を疲弊させることを期待しているのだ。ロシアの政策が、NATOの脅威に対する防衛的なものであるという見方は、一般的に拒否されている。つまり、NATOは、ロシア解体の夢を追い求め、ロシアのクリミア海軍基地を奪取するために攻撃を永続させ、さらにはその攻撃を激化させようとしているのを、ロシアは防衛しているという見方である。

現実には、ロシアは長期的な方針として東方への転換を決めた。世界経済は対立する2つの体制に分裂しつつあり、ドイツはその真ん中に立たされている。

 

いまドイツは、アメリカ中心の覇権を維持するというアメリカン・ドリームに生きるという選択の代償としての産業不況に苦しんでいる。

 

アメリカ人がロシアへの「依存」と呼ぶものは、より高価なアメリカの供給者への依存に取って代わられ、ドイツはロシアとアジアの市場を失った。この選択の代償は甚大だ。

 

ドイツの工業雇用と生産の繁栄は終わりを告げた。それは長い間、ユーロ圏の為替相場を支えてきた。EUの未来は長期的に下降線をたどることになりそうだ。

これまでのところ、米国の新冷戦の敗者はドイツとその他のヨーロッパ諸国である。米国に経済的に臣従することは、最も急成長する世界市場との相互繁栄の機会を失うことよりも価値があることなのだろうか?

 

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