合唱練習をする上での難しさと言えば様々あると思うのですが、その中でも特筆すべきは個々によって抱えている課題が違うということでしょうか。しかも、個々がもっている課題意識も千差万別です。「ここをもっと直してほしいのに」と周りの人が思っても本人はあまり気にしていないというのが代表的な例でしょうか。合唱の練習は、基本的にはみんなが同じメニューをこなすものが多いので、個々の課題にあったトレーニングがしにくいという特徴があります。個々の課題に合ったトレーニングをするためには、マンツーマンのボイストレーニングが欠かせないのですが、世間一般のアマチュア合唱団ではなかなかできないのが現状ではないでしょうか。

 

 

 個々の課題をアンサンブルの中でどのように解決していくか、というところに、その合唱団の「質」が問われているということです。要するに、よい集団であれば、練習を通して音楽的な充足感や満足感を得ながら技術の向上を図ることができるし、そうでなければただ時間だけが過ぎていく練習になるということです。

 

 

 合唱がもつこのような「特質」(個々の課題を練習の中で解決しにくい、しかしよりよい集団であれば練習の中で個々の課題が解決されていく)を踏まえ、改めて、練習の中で大切にしていきたいことは何だろうかと思うと、いろいろな方法にすがるのではなく、仲間内で積極的な意見交流をすることであると思います。

 

 自分の声を客観的に聞くことはできませんが、他のパートの声を聴くことはできます。パートの音の「今」はどういう状況であるのか、それに対して自分たちのパートは「どう応えるのか」、それを伝えるために演奏で表す場合もあるでしょうが、言葉で伝えるという方法もあります。「言葉で伝える」というと指揮者の仕事のようにも聞こえますが、何も指揮者の専売特許ではなくて、気になったことがあれば言葉にして伝えればよいと思っています。

 

 無論、伝え方によっては相手に嫌な気持ちを抱かせてしまうかもしれません。しかし、相手の演奏によってこちらが不愉快な気持ちになっているのであれば、なんとか言葉を尽くして伝えようとするのが音楽を志す者としての使命であると感じています。

 

 そうした意味でも、「聞く耳をもつ」ということは合唱において大切なスキルなのではないでしょうか。

それでは、今日はこの辺で。