16年前に購入した2台目のピアノが

お嫁入りしていきました。

 

行き先は

私がこの2ヶ月間ずっと

使用ピアノを探していた

小さな生徒さんのお宅です。

電子ピアノでなく生のピアノ。

 

 

 

部屋はがらんとしています。

 

 

キョトン。

 

 

キョトン。

 

 

ヨーロッパピアノとの出会い

 

今から18年くらい前に

友人のピアノ探しに付き合いました。

厚木の中古ピアノ屋さん。

友人のヴァイオリン教室に置くピアノ。

 

店頭には

古い小さなピアノが置かれていました。

何気なく

鍵盤に触って、びっくりしました。

 

 

古ぼけたピアノの

鍵盤のタッチは粘着質というか、

今まで自分が経験したことがない感触でした。

「何、これ?」・・・。

 

値段は確か30数万円でした。

魅力を感じながら、

こんな変わったピアノを扱える技術者は

いないだろう、持つのは

ムリ、ムリ、ムリ。

 

 

そのピアノは

Zimmermann(ツィンマーマン)

と言う旧東ドイツのものでした。

 

その衝撃から2年。

ずっと古い小さなピアノの事が

忘れられずにいました。

 

インターネットで調べ続け、

出会いとご縁で、

2台目のピアノ、

ベヒシュタイン(中古)を迎えました。

 

 

張りのある、澄んだ音色が特徴の

(今では製造されていない)

ドイツ製の、良質なコンサートタイプで、

 

 

よくBachなどを弾きました。

久しぶりのアップライトは

目にも優しいので、

子供の頃のように集中できました。

凛とした音色も魅力でした。

 

「主(しゅ)」であるグランドは

中高音の伸びが今ひとつでしたが、

綿密な調律の甲斐あり、

今ではうっとりする程、甘い音色を

奏でてくれています。

 

私はグランドを主にしたいけれど、

 この子がパワフルで、

グランドより勝ってしまう。

 

そして、月日は流れ、

グランドが鳴るようになった今は、

ベヒは

私の経年変化に伴い、

「強すぎる」と

感じられるようになって、

 

レッスンの補助以外、

あまり弾かれなくなっていました。

 

私はそんな事もあって、

ここ数年、自分の年齢や体力のこと、

レッスンのことを、

ずっと考えていました。

 

 

ところで、

これがすごく気に入って、

グランドピアノでのレッスンの後、

離れようとしない女の子がいます。

 

ピアノ探しの旅の途中で、

どちらからともなく、出た話。

 

手離しても良いかもしれないと

思い始めていた私。

 

 

女の子のお母さんは

ピアノを弾きませんが、

アラスカに嫁いだ

元生徒Eちゃんの親友で、

私の話、ピアノの深い話を

昔からずっと聞いてきたそうです。

 

そのせいか、

電子ピアノからスタートする子が

多い今の時代に、

生のピアノへ

そして、更に高額な

ヨーロッパピアノへと

希望が移るのに

時間はかかりませんでした。

 

このベヒを譲り受けることに、

強い希望を持つご家族の決断は

速かったのです。

 

ヨーロッパピアノの値段が、

高騰する今、双方に、

納得できる良い形を

購入先(調律師さん)が

提案してくれて、それに従いました。

その辺は素人なので、

とても有り難かったです。

 

運送業者さんは、

何と、16年前に

転居前の自宅にベヒを運んでくれた、

同じ業者さんでした。

数ある同業者さんの中で、

この偶然には驚き、ご縁を感じました。

 

「別れ」に

一抹の寂しさはありますが、

後悔はありません。

 

Rちゃんを通じて、これからも、

あの子を感じられるのは幸せ。

 

ベヒちゃん、今までありがとう。

幸せになって下さい。

 

 

私はこれから引き続き、ピアノとの

生き方を考えていきます。