婦人服メーカーのバーゲンに行った。
ここが扱う洋服のデザインが好きなので、案内がくるたび行くのだが、行くたびに思う。
普段、直接消費者に相対しないからだと思うが、接客態度が全くなっていない。客が来ても、社員同士雑談しまくっているし、いらっしゃいませの挨拶もない。そういう対応に腹が立たないと言えばうそになるが、反面、ほっておかれる分、存分に品定めができるという利点はある。
ところが、今日、想定外の場面に遭遇した。
店内にいた社員のうちの一人、中年の男性なのだが、積極的にお客に声をかけているのである。
ぱっと見、なかなかの紳士なので、中年のおばさま方(←自分はさておく)は気をよくしたのか、何枚も何枚も洋服を抱えている。
で、その男性社員、御多分に漏れず、私のところにも寄ってきた。
そしていきなり、「こういうの、どうですか」と話しかけてきた。
そうして差し出したトップスが……
絶対
絶対
絶対
絶対
絶対
と「絶対」を5つ並べてもとっても足らないほど「私は着ない」プリント柄だったのである。
あまりにも意外過ぎて、私は言葉を失い、「それはちょっと…」と言うのがやっとだった。
したらば敵は、
「あくまでプライベートで着るものですよ。遊び心満載で、どうですか」
…って、私は「プライベートでも、その柄は着ません!」なのだ。
正直、お金をもらっても着たくない柄だった。
敵は無反応な私に何かを感じたのが、今度は無地のカーディガンを持ってきた。
それも、大胆なドルマンスリーブのもので、やっぱり私的には「着てみたい」とは決して思わないものだった。
アパレル関係の人なのに、この人はセンスがないのか。
いや、もしかして、「スキマ時間はタイミー」から来たドシロートさんなのか。
と思いつつ、それならまだ救われる、と思った。
最悪なのは
私は人から見たら、「そういう柄」「そういう袖」が似合う人であり、自分がそれを知らないだけ。
とてもショックが大きくて、見る気も買う気も失せた。
ちなみにその人が最初に進めたトップスの柄は、いろんな肌の色、髪形、表情をした手のひらより一回り小さいくらいの顔が、トップス全体、前にも後ろにもにちりばめられたものだった。
自分自身 一番知らない 自分自身
鞠子