納骨堂の隣にある美容院のシャッターが、ずっと閉まっている。
といっても、私は基本的に土曜日しか納骨堂に行かないので土曜日以外は営業しているのかもしれないが、美容室って組合の規定か何だか、いまだ一律に月曜休か火曜休が多い気がする。だから、土曜日休というのは釈然とせず、ちょっと気になっていた。
もしかして、閉店しちゃったのかな。
テナントの一角、中年の女の人が一人でやっているこじんまりしたきれいな美容室。いつも誰かお客さんがいたし、店主自体、店をたたむような年齢ではない。
ところが、昨日納骨堂にいったとき、シャッターに小さな張り紙がしてあるのに気がついた。
物好きな鞠子は、わざわざそれを読みに行った。
そこには「郵便配達の方へ」とあり、手をけがしてシャッターが開けられないため、郵便物は裏口へ持ってきてほしい旨が書かれてあった。
そうかぁ、ケガをしたんだ。だから、お店を閉めているんだ。
納得した。
納得したが、こういう状況になると、個人事業主はどんなに大変だろうと思った。
いずれにしても、手をけがしたら、美容師さんはどうにもならない。しばらくの間、収入が途絶える。
そして、休業が長引けば、客はよそに移る。
ましてや、後遺症など残ろうものなら、ハサミは手にできないかもしれない。
シャッターが開けられないということは、両手をけがしちゃったのかな。
私はこの美容師さんを直接には知らないが、母がこの納骨堂にお世話になって以来、なにげに見続けていた光景にシャッターが下り、あれこれ考え、なんだかとっても切なくなった。
エプロンの 後ろ姿が 笑ってた
鞠子