スイミングのパウダールームでドライヤーを使っているとき、隣で同じようにドライヤーを使っていた女性が急にこんなことを言い出した。
「突然だけどさあ、何か苦労ある?」
いきなりそんな根源的&哲学的な問いを投げかけられて面食らってしまった。
だが、問われて改めて考えた。
苦労がない、といえばうそになる。かつ、苦労がある、というのもうそになる。
健康のこととか老後のこととか、苦労と言っていいものか。
こんなん、誰にでも平等にやってくるわけだし、現在、重い病を抱えている身でもないわけだし。
仕事だって、順風満帆とは言えないが、もっとしんどい目をしている人はヤマといる。
大雑把に見れば、今の私には「苦労がない」ほうのチームに入るに違いない。
これで「苦労、あります」といったらばち当たりだ。
ところで、問うてきた女性は私より若干上の年代の、もう仕事はしていない人。
同年代だから聞いてきたのか、あるいは私がいかにもお気楽そうに見えたから聞いてきたのか。
とっさに聞き返せばよかった。
「〇〇さんは、苦労、あるの?」って。
深爪の 痛みも地味な プチ苦労
鞠子