どうしても忘れられない1枚の写真がある。
というと、何かロマンチックなことを想像されるかもしれないが、じゃなくて真逆。
ずいぶん前に行った職場の慰安旅行で撮った1枚。
一人のオトコ後輩が、ソフトクリームを持って歩いているという、意味のない写真。
だけど、この写真が強烈に脳裏に焼き付いてしまっている。
その理由は、彼の「表情」と「左手」と「ソフトクリーム」だ。
いかにも自信満々なドヤ顔で、顔の高さにソフトクリームを持った右手を上げて、左手はポケットに突っ込んで歩いている写真。
その表情と醸し出す雰囲気が、まさしく彼そのもの。彼の人となりを100%表している。
それも、持っているのがソフトクリームなのがバカじゃん。
この人とはもう長いこと一緒に仕事をしているし、現在は上司という立場になるのだが、表面上適当に合わせているだけで、私は全く彼を見ていない。
ソフトクリームを持ったこの写真の当時から、ずっとout of 眼中だった。
もちろん今も。
ソフトクリームを持ったドヤ顔。ざまあみろ、ってんだ。
底意地の悪い私は、この写真を思い浮かべるたび、心の中で悪態をついている。
ふっとした その瞬間に 「人」が出る
鞠子