ステップ台運動に行ったとき、たまたま「超初心者向け」のメニューの時間帯だった。
音楽に合わせて、ステップ台に乗る・降りるを繰り返す。ときどきリズムが変わるし、手の動きがついたりするが、いずれにしても非常に単純で、私としては物足りない。
こういうメニューの時はステップ台の高さを上げるに限るが、最近、バテ気味のため、通常の高さのまま動くことにした。
そこへ、最近、ちょくちょくここで会う女性がやってきた。
この方、おそらく私と同じくらいの年だ。だがしかし、失礼を承知で言ってしまうと、あまりにも鈍い。その鈍さがトンデモなレベルなのだ。
今日のように、超初心者向けの単純なステップでも、2、3歩踏むと、リズムがくちゃくちゃになってしまう。例えば、上がる・降りる・上がる・降りるをゆっくり繰りかえしているだけなのに、右足から降りて右足から上がろうとする信じられない動き方をする。手の動きなんかつこうものなら、もう手足がばらばらで、むしろ「よくそれで動いているな」と思えるほどなのだ。
音楽に合わせて動くわけだから、何度もやっているうちに、音からも次の動きが読めるはずだし、何よりこんな単純なステップができない理由が分からない。
…と思ったが、次の瞬間、ふと思った。
単純ステップだから踏める人もいれば、単純ステップでも踏めない人がいて当然なのだ。
私はステップが踏めないこの女性を理解できないと思ったが、英語が普通に話せる人からしたら、英語が話せない私は理解できないのと同じことだ。
たまたま私は、それなりに鍛えており、それなりに音楽にも触れる機会が多いだけのことで、人に対して「何でこんな簡単なことができないんだろう」と思うのは、思い上がりというものだ。
…ということで、心の中でその女性にごめんなさい、と言ってみたものの、何せ全面ガラス張りなので、否が応でもその人の動きが見えてしまい、大変ウザイ。
見ていると、私もこんがらかってくるので、決して見ないよう、自分だけ見るようにしてステップを踏んだ。
こんなことで自分も狂いそうになるなんて、しょせん、私もたいしたこと、ないわけだ。
左足 次は右足 乗せるのよ
鞠子